「温故知新展」の巻
「『温故知新』の意味をご存知ですかな?」
「もちろん。ええっと、昔の出来事などを訪ねて、そこから新しい事柄を知ること、じゃなかったですか?」
温故知新展の鑑定士と参加希望者が、古物をはさんで会話していた。
「さて、そこであなたが持参された品はどうでしょうか?」
「うっ。そ、それは……」
「正真正銘、誠心誠意の贋作でございましょう?」
「やはり暴露ておりましたか。申し訳ございません」
「いえ、だから合格で御座います」
鑑定士は優しい笑みを浮かべた。
「出土した縄文土器を調べたら、現代に埋められた物だった、みたいな話ですから。古きを訪ね、新しきを知っておりましょう?」
「はあ」
「あなたの持ち込まれた茶器は、平安時代を騙った現代物ですから、大合格です!」
自分のすぐ前で交わされている会話を聞いて、ウツダ氏は苦笑した。
(展示会の趣旨も知らずに、偽物を持ち込んだのか)と。
ウツダ氏の趣味は贋作蒐集だった。安くて済むからである。
(そして、本物だと思い褒めそやす連中を見るのが、また楽しい)
そして鑑定士に言われてしまうウツダ氏。
「ああ、これは見事な新石器時代の壺でございますな」
鑑定士は髭を捻って、褒めた。
「新石器時代の生気に満ちあふれている。珍品中の珍品。どうぞ、大事になさって下さい。不合格です」
「な、なんですって?!」
ウツダ氏は、壺を睨んだ。
(キサマ、今までわしを謀っていたのかっ)
(くそっ、偽物だと思えばこそ大切にして来たのに)
(褒めそやす連中を笑ってきたのに!)
新石器時代の本物の壺は、黙って冷や汗を流すばかりであった。
(珍品ピンチ)
ちんぴん、ぴんち!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
似たような回文を、「魔人ビキラ」本編で使いましたが、気にしないように。
その「魔人ビキラ」本編は、明日のお昼、12時前後に投稿予定です。
月曜、火曜、木曜、土曜は「続・のほほん」を、あさの7時前後に投稿しています。
水曜、金曜、日曜は、魔人ビキラ系を、昼の12時前後に投稿しています。
ほなまた明日。魔人ビキラで。