「大漁なのか?!」の巻
海岸の防波堤の上には、何人もの釣り人が海に釣り糸を垂らしていた。
大潮さんも、その一人だ。
釣り道楽の大潮さんは、その日は朝から変な物ばかり釣っていた。
「また長靴か」
大潮さんは、長靴の中の海水を海に戻した。
海水と一緒にタコが海に戻って行った。
「あっ!」
と言って絶句する大潮さん。
その後も、下駄、絵馬、コップ、底抜けバケツ、三角定規などを釣り上げた。
ある意味、大漁だった。
「ああもう、今日はボウスかよっ!」
大潮さんは勢いよく釣り竿を振った。
「うん。それなりの手応えが……」
大潮さんは、半分うんざりしながら期待を寄せた。
「あっ、なんか黒い物が」
と、海面を見てつぶやく大潮さん。
すると隣で釣りをしていた人が、
「おおおっ、もしや?」
と大潮さんに近寄って来た。
「えっ? あの黒いモサモサした奴、珍魚かなんかですか?」
と、大潮さん。
「早くっ、早く釣り上げて!」
と叫ぶ、お隣の釣り人。
「うえっ? なんですか、この黒いヤツ? 生き物?」
海から吊り上げて気味悪がる大潮さん。
「ありがとうっ、見知らぬあなた! それ、風で飛んで海に落ちたワシのカツラだよっ!」
微妙に、てっぺんハゲな人は嬉しそうに言った。
(ずぶ濡れでも良いんだ)
と、大潮さんは思った。
愛着とはそういうモノである。
(空釣りヅラか)
からずり、づらか?!
お読みくださった方、ありがとうございます。
次回、「続・のほほん」は、
明後日、月曜日の夕方5時前後に投稿予定です。
明日、日曜日は、回文妖術師と古書の物語
同じ回文オチのショートショート「魔人ビキラ」を、
夕方の5時前後に投稿予定。
ほなまた明日、魔人ビキラで素浪人ププンハンに。




