「ボソボソにも意味がある」の巻
「えっ? あの、よく聞こえないんだけど」
タカキ氏は見知らぬ人に声を掛けられ、聞き返した。
「……ボソボソボソ……」
省エネな声であった。
道に迷っているのかも知れない。
だったら、教えてあげないと。
宗教の勧誘かも知れない。
だったら、悪魔教に入信している事を教えてあげないといけない。
「ボソボソボソボソ」
相変わらず、その人の声は小さかった。
「ぼそぼそぼそぼそ?」
タカキ氏は仕方なく、調子を合わせた。
「ボソボソボソボソ!」
「ぼそぼそっ?!」
「ボーーソボソボソッ……」
話は何とか成立した。
「この、エコな時代は生きにくい」
という愚痴であった。
(なぜそれを、見ず知らずの私に言うか?!)
タカキ氏は、その愚痴を誰かに聞いてもらわずにはいられなかった。
「あのう、ぼそぼその件に関してなんですけど……」
通りすがりの宗教勧誘者をつかまえて、タカキ氏は話しかけた。
(チェーンメイルは、かくもありなん)
と、タカキ氏は思った。
(エコな声)
えこなこえ!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
明日は投稿を休む曜日だが、おおよそ、投稿したい。
今日は夕方にまた、おそらく投稿したい。
在庫が出来つつあるからである。
このようにして、また在庫がなくなるのである。
たぶん。