「くじ引き曜日」の巻。ミチコ&タカシ編
ミチコさんとタカシくんが利用するスーパーマーケットには、「くじ引き曜日」があった。
二千円以上の買い物を買い物をすれば、一家族に一回、ガラガラが回せるのだ。
レジでもらった「二千五円」のレシートを持って、くじ引き会場へと急ぐミチコさん。
併走するタカシくん。
「牛肉出ろ出ろでろりんげん」
謎の呪文をつぶやきながら、念を込めてガラガラを回す若き妻ミチコ。
当たったのは、「冷凍タツタ揚げ十個入り」だった。
店員さんが、威勢よく鐘を鳴らす。
「今夜は鍋にしよう」
と、食材を買いそろえた後であった。
(明日はタツタ揚げだな)と、喜ぶタカシくん。
「鍋のツマミに竜田揚げなんて、贅沢ねえ」
と喜ぶミチコさん。
「うん。明日のおかずは分からない」
と共鳴するタカシくん。
「竜田揚げ、当たったあ!」
ミチコさんは改めて、声に出して言った。
天井に両手を突き上げるミチコさん。
ミチコさんの過剰な喜びように、店員さんも列に並ぶ客も目を丸くして、感激した。期せずして拍手が起こる。
タカシくんも、自分の妻の色々な強さを再確認した。
(うん、ミチコさん。ずっとついていくよ!)
と。
(あ竜田揚げ当たつたあ)
あ。たつたあげ、あたつたあ!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
ちょいちょい登場するミチコ&タカシ編です。
若い夫婦、若干新婚夫婦、な設定です。
明日はまた、午前7時前後に、
回文ショートショート童話「続・のほほん」で。