「パピンペの新たな人生」の巻
「たっ、大変だ。円盤が、我が家がっ!」
宇宙人パピンペは、空飛ぶ円盤で地球にやって来たまでは良かったが、運転ミスで海に墜落し、外に放り出されて乗り物と我が家を同時に失ってしまった。
「家。家。なんか円盤の代わりになる家!」
パピンペは海底を探し回り、手頃な空き家を見つけて潜り込んだ。
「ああ、やれやれ。ひと安心だ。後で円盤も探さなくちゃ」
と、独りごつパピンペ。
「なんだお前、この辺じゃ見ない顔だな」
そこに一個の巻き貝がやって来て、小さな貝殻に潜むパピンペを睨んだ。
貝はクマサカガイであった。
海底に落ちている石コロや貝殻を、自分の殻に付着させる習性のある巻き貝だ。
人間の産物であるガラスの破片、缶のタブ、硬貨など、海底に落ちていれば何でもお構いなしで、くっ付けるのだ。
その見事なクマサカガイの殻飾りを見て、
「あっ!」と泡を吐くパピンペ。
色々な貝殻に混じって、パピンペの円盤がクマサカガイの背に付着していたからだ。
「あのう、あなたの背中の貝に引っ越しても良いですか?」と申し出るパピンペ。
「良いとも。ただし、家賃を頂くぜ」抜け目なく言うクマサカガイ。
「もちろんですとも、大家さん」
こうしてパピンペは、大家のクマサカガイに家賃を払うため、反重力エンジンを吹かして世界中の海を飛び回るのだった。
海中を素早く移動するクマサカガイを見つけたら、
「パピンペ!」と声を掛けてやって下さい。
(如何に居ますや住まいに貝)
いかにいますや、すまいに、かい!
お読みくださった方、ありがとうございます。
次回、「続・のほほん」は、明日の夕方、5時前後に投稿予定です。
回文妖術師と古書の物語「魔人ビキラ」も、同じ回文オチ形式のショートショートです。
よかったら、読んで見てください。
ほなまた、明日。続・のほほん、で。




