「ムウ帝国物語」の巻
海底帝国ムウは、海上に浮上した。
海岸線に津波などで被害が出ないように、非常にゆっくりとした浮上であった。
何万年ぶりの外界であろうか。
氷河期は去って久しく、猿の子孫とおぼしき族が地上を闊歩し、破壊の限りを尽くしていた。
「おう。なんと多くの種族が滅ぼされたのだ」
地上調査隊の報告書を読みながら、ムウ帝国の王は嘆いた。
「我々が手塩に掛けて育てたかのマンモスも、進化前に滅ぼされたようです」
「必要以上に殺して楽しむ。なんという愚かな種族なのだ」
「攻め滅ぼしますか? 王よ」
「しかし、かの人類とやらは、自らを何十回と滅ぼし得る『核兵器』とやらを所有しているそうではないか」
ムウの王が思い悩んでいる所へ、人類側に裏切り者が出た。
シカゴである。シカゴ市民である。
ムウ帝国の怒りを充分に理解したシカゴ市民は、敢えて、地球という巨大生命体のために、ムウと共闘したのであった。
かくてムウ大戦が始まり、ムウ帝国、人類の双方が死滅した。
(まあ、見ているだけで、何もしなかった私も悪いんだけどね)
と、地球は呟いた。
地球に新しい支配種族、ミュータントが誕生するのには数万年を要したが、地球にすれば、さして長い時間ではなかった。
(今度は、私の痒い背中も掻いてくれる支配種族でありますように)
地球は密かに祈るのだった。
(ムウ動かしたシカゴううむ)
むううごかしたしかご、ううむ?!
お読みくださった方、ありがとうございます。
明日は、「魔人ビキラ」。夜の投稿になりそうです。
あるいは、疲れて投稿できないか。
ほなまた明日、「魔人ビキラ」を投稿したい。