「夜半の外灯」の巻
「おかしいなあ、確か、この辺だと思ったんだけど」
夜半、公園の暗闇をウロウロしているタロウ君。
「どうしたの? タロウ。こんな所をウロついて」
ばったりタロウと出会ったのは、ヨタロウさんだった。
「あっ、ヨタロウさん。この辺りに外灯があったと思うのですが、ご存知ありませんか?」
「外灯? 筋がひとつ違うよ、タロウ君。この辺りの外灯と言えば、ウォーキングのスタート地点だよ」
「あっ、そうでした。ありがとう御座います、ヨタロウさん」
お礼を言うと、タロウはパタパタと羽根を羽ばたかせて飛び去った。
「タロウ君、外灯音痴だからなあ」
つぶやくヨタロウさん。
そう言うヨタロウさんは、正真正銘の、音感音痴にして方向音痴だった。
「ジョオウさんとの待ち合わせの丁字路の大きな門灯は、この幼稚園を曲がった先だったな」
公園内に幼稚園はなかった。
アスレチックエリアを幼稚園と間違って、音感音痴のヨタロウさんは、羽根をワシャワシャ言わせながら飛んで行く。
ジョオウグモさんの待つ罠は遠かった。
このように、夜にふらふら飛んでいる蛾は、だいたい道に迷っているのである。
だって、すごく自信なげに、ふらふら飛んでるでしょ?
(外灯に疎い蛾)
がいとうにうとい、が!
お読みくださった方、ありがとうございます。
今年も全力で、馬鹿馬鹿しくも楽しげな話を上げたい。
正直、なかなか難しい。
話を思いついても、ついつい、展開が暗くなってゆく。その方が、自然? な感じなのだろうか?
しかし、世の中、暗い話ばかりが目立つ。心に刺さる。
苦しい中にも笑いがあっても良いと思うが、突き抜けて明るい話は難しい。人畜無害も難しい。
暗い方向に進む話が苦手で、もがく。
「この映画、泣けますよ」
と宣伝してるのをたまに見たり聞いたりする。
そうか、泣くのは良いことなんだ。と思う。
スカッと出来れば、「泣く」そして「怒る」も良いのかも知れない。
そして今日も、クスっと笑いを、考えるのである。
ほなまた明日、朝の7時前後に「続・のほほん」で。