「えん罪」の巻
「この人、痴漢よっ!」
休日、繁華街を歩いていて、佐田寺氏は突然、痴漢あつかいされた。
「なっ、何をいきなり。私は何もしておらんぞ」
「嘘よ! あたしの脇腹をくすぐったわ。痴漢! 痴漢!」
女性は叫び続け、周囲の人々はざわつき、何人かは佐田寺氏に近づいて来た。
「違うっ! 私は何もしていない!」
「きゃっ! ほらまた今も、くすぐった!」
女性の話は明らかに奇妙だった。
くすぐったと言うその時、女性と佐田寺には距離があったからだ。
「あなたの話は変ですよ」
二人に近づいた白髪の老人が言った。
「なによ、あたしが嘘を言っているとでも言うの?!」
その時、また脇腹をくすぐられ、
「あっ、また脇腹をっ! さてはあなたね!?」
と、近づいて来た老人に叫ぶ女性。
「あの、冷静に。脇腹に湿布でも貼っているんじゃないですか?」
と、老人が言った。
「それで、痒くなって……」
「馬鹿なこと言わないでよ!」
女性は上着の脇ポケットに手を入れた。
「ほらっ、ハンカチしか入ってないから!!」
犯人は、それで判明した。
(痴漢ハンカチ)
ちかんはんかち!
お読みくださった方、ありがとうございます。
次回、「続・のほほん」は、明日(火曜日)の朝、7時前後に投稿予定です。
「風骨仙人の旅路」全4話。
「異物狩り」全4話。
「のほほん」全111話。
以上が、完結しています。よかったら、覗いてみて下さい。
回文妖術師と古書の物語「魔人ビキラ」は、連載中です。
こちらもよろしくお願いしたします。
ほなまた明日、続のほほんで。




