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「時間稼ぎ」の巻
コンビニ強盗が居直って、人質を取り立て籠った。
六枚入り九十八円の食パンの袋を振り回して、籠城犯が叫んでいる。
「てめえら、黙ってアラジンの魔法のランプを持って来りゃいいんだよ!」
居直り強盗は、ランプの精ジーニーの大ファンだったのだ。
コンビニを取り囲む警官隊のリーダーは、銃火器の大ファンだったので、すでに特殊急襲部隊を呼んでいた。
(SATが来て犯人が蜂の巣にされるまで、時間稼ぎをしなければ)
リーダーはハンドマイクで叫び返した。
「もうしばらくお待って下さい。空飛ぶ絨毯で取りに行ってるところです!」
と、犯人に調子を合わせるリーダー。
「本当です! 信頼して下さいっ! 警察は信頼が第一なのですから!」
警官のその言葉を聞いて、籠城犯は、
「それなら仕方がねェ。もう少し待ってやる!」
と、喚いた。
(信頼いらんし)
しんらい、いらんし!
お読みくださった方、ありがとうございます。
次回「続・のほほん」は、
明日の朝、7時前後に投稿予定です。
ほなまた明日、のほほんで!