「多士済々」の巻。その他
「多士済々(たしさいさい)」の巻
ゲルマニアとは、古代ローマ時代の地名である。
現在の、デンマーク、ドイツ、チェコ、スロバキア、オランダ、ポーランドとほぼ重なるほど広大な土地だ。
そして当然、沢山の動物が棲んでいた。
もちろん、人間も含まれた。
その多士済々な動物たちを仕切っている狼たち。
「はい、種族ごとに並んで、並んで」
「争いがないように、きちんと棲み分けをするんだから」
「こらっ。そこの毛無しの二本足、どこの列にも割り込むんじゃない!」
そして、脆弱だが悪知恵の働く毛無しの二本足は、すべてのゲルマニアに蔓延った。
(アニマルゲルマニア) あにまるげるまにあ
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「スニーカーの恋」の巻
そのスニーカーは、主人に履かれて一緒に商店街をブラついていた。
主人が、ある店のショーウィンドウの前で立ち止まった。
そして、目の前のマネキンが履いている婦人靴に恋をするスニーカー。
「お嬢さん、一緒にブラブラしませんか?」
スニーカーはガラス越しに声を掛けてみたが、婦人靴はツンと澄まして何も答えなかった。
主人の方は、そのボブヘアのマネキンに恋をした。
「お嬢さん、デートして頂けませんか?」
「ええ。もちろん喜んで」
「何処にしましょう? 遊園地はいかがですか?」
「一緒にコーヒーカップに乗って下さいますか?」
「メリーゴーランドも良いですねえ」
主人の妄想は留まる所を知らず、
「またいつものトリップが始まった……」
と、気がつくスニーカー。
スニーカーは、ぼんやりと婦人靴を眺めながら、トリップの決着が着くのを待った。
(ブラつく靴、ラブ)
ぶらつくくつ、らぶ!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
明日は、「ビキラ外伝」でお会いしませう。




