「コアラのシンシン」の巻
(ううむ。でんぐり返しが出来るのか?!)
パンダの映像をモニターで見ながら、唸るコアラのシンシン。
園長に、
「観客員激減中の我が動物園を助けると思って、パンダに負けないアイデアを出してくれ、シンシン!」
と頼まれたのだ。
『敵を知り己れを知れば、百戦 危うからず』
と言うコトワザに従って、パンダを観察しているコアラの、シンシンだった。
(しかし、でんぐり返しなら、頑張れば吾輩でも出来そうだ)
(むむっ。木からの落ち方が可愛い! 『山芋木から』と言うヤツか?)
『病も気から』を覚え間違えているシンシンだった。
(いや、『山芋木から落ちる』だったか?)
『猿も木から落ちる』と混合し、さらに迷うシンシン。
(あの落ち方は学ばねば)
危ういところで踏みとどまるシンシン。
(エサは竹と笹か。偏食だなあ)
(ユーカリしか食べない吾輩が言う事ではないが)
(えっ? リンゴや柿、ニンジンやサツマイモも食べるの?)
(うらやましい。動物園に順応しているなあ)
画面は、パンダでない動物を映した。
(おおう、パンダ犬。スプレーで変装しているのか?)
(しかしこれでは、自らパンダより格下である存在を認めるようなもの……)
(目の周りと耳を黒くするパンダコアラは却下だなあ)
またパンダの映像に戻った。
(あっ、つまずいた。そのまま斜面を転がり落ちてゆく)
(なんと可愛い落ち方だ。天然か?!)
(天然には勝てないぞ)
(我らは有袋類である。これはパンダとは決定的に違う)
(この袋から、竹トンボを出すとか、扉を出すとか……)
われ知らず、国民的アニメ「ド◯ラえも◯ん」に歩み寄る吾輩コアラ、シンシン。
(それにしてもパンダとやら、いちいち仕草が可愛い)
(吾輩もパンダに生まれたかったかも……)
(感心したシンシンか)
かんしんしたしんしんか?!
お読みくださった方、ありがとうございます。
今日は、「ビキラ外伝」も投稿予定です。




