「フラマリオンと浮遊惑星」の巻
浮遊惑星が、地球に近づいていた。
岩石惑星で、しかも大きさも地球に近かった。
NX0015と名付けられた。
浮遊惑星とは、なんらかの理由で、形成された惑星系からはじき出された宇宙を漂う惑星の事だ。
地球に接近するその惑星NX0015は、銀河同士の衝突により、重力干渉で公転からはじき出されてしまったのだ。
天の川銀河の外の話であった。
そして天の川銀河に流れ着いた。
多天体の動きにまだ囚われておらず、惑星ながら、独立してこの棒状銀河を公転していた。
宇宙を漂い、海は凍り、生命系は活動を停止している。
一方、地球はそんな惑星の接近を発見して、てんやわんやの大騒ぎになっていた。
「地球と衝突する!」
とか、
「衝突しないが地球の大気を剥ぎ取ってゆく!」
とか、
「浮遊惑星NX0015の纏う有毒ガスに犯されて死ぬ!」
とか、1910年のハレー彗星接近時の騒ぎを繰り返していた。
人類は学ばないのである。
当時、1910年。終末論を喚き散らした天文学者、カミーユ・フラマリオンは、事もあろうに過去から転生し、静かに暮らしていた。
そしてあの時、1910年と同じ騒ぎに出会ったのである。
フラマリオンは転生時、女神からチート能力を得ていたので、まず、地球を軌道から外した。
そしてその後の軌道に、浮遊惑星NX0015を入れた。
その位置は、太陽の熱と光が燦燦と降りそそぐ、ハビタブルゾーンである。
浮遊惑星の凍っていた水も溶け、新しい生命がやがて誕生するだろう。
起動を逸れ、終焉を迎えつつある地球から「第二の地球」を眺めながら、フラマリオンは祈った。
「やがて生まれるであろう人類に幸あれ!」
フラマリオンは現代に転生し、色々と絶望したのだ。
「人類、こんなもんか」と。
「あの時、本当に滅んでいれば良かったのだ」と。
やはり、時代をスキップしたのがマズかったのかも知れない。
(世界最大の偉大さ活かせ)
せかいさいだいの、いだいさ、いかせ!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
明日は、「蛮行の雨」、第五十三話「殴りっこの相談」前編を投稿します。
明日の午後には、「続・のほほん」か、「新・ビキラ外伝」を投稿できたら良いと思っております。
ではまた、明日!




