「奈良県立鹿専門動物園」の巻。その他
「奈良県立鹿専門動物園」の巻
そこは奈良公園であった。
「おうおう、お前、何処の鹿だよ。兄貴、ビシッと言ってやって下さい」
「ちいっとばかし角がデカいからって、デカい面するんじゃねえよ」
「兄貴、デカいが被ってます」
「ヘラヘラ笑いやがって。さてはヘラジカだな?!」
「兄貴、ヘラが被っています」
「とにかく、ここはワシら奈良鹿の縄張りだ。出て行ってくんな」
「まあ、貸し切りと言うなら仕方がない」
奈良県立鹿専門動物園から逃げ出したトナカイは、そう言うと、奈良公園から立ち去った。
「なんなんだよ、あのデカい角の鹿はよう」
時速八十キロで走り去るトナカイの姿を見てつぶやく兄貴鹿。
「兄貴……」
子分の鹿はおずおずと言った。
「トナカイかな、と(となかいかなと)」
(貸し切りありき鹿)
かしきりありき、しか!!
*** *** ***
「天気予報」の巻
「ええ、明日は列島のあちこちで、黒頭巾、赤頭巾が降るでしょう」
と、気象予報士が言った。
「はあ? 雨とか槍とかならわかるが、なんで頭巾なんだよ?!」
横丁のヘンクツ爺いが言った。
「なんでもじゃ」
天が言った。
(頭巾天気図) ずきん、てんきず!!
(赤頭巾天気図かあ) あかずきん、てんきずかあ!!
(黒頭巾天気図録) くろずきん、てんきずろく!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
「となかいかなと」は、すでに使用済みでした。
申し訳ない。
だがしかし、多少の不覚は、多めに見てあげましょう。
「続・のほほん」は、また明日。
同じ、回文オチ形式のショートショート
「魔人ビキラ」は117話くらいで、第一部が終了しています。
よかったら、読んで見て下さい。