「同窓会」の巻
石火くんは、高校の同窓会に出席した。
去年、卒業したばかりだったが、会わなくなった級友が沢山いたからだ。
「顔を見たい」
「皆んな、変わりないかな?」
そういう気持ちだった。
一年ぶりの懐しい顔に、自然と笑みがこぼれる石火くん。
「やあ、石井さん、お久しぶり」
石火くんは石井さんに淡い恋心を抱いていたので、改まった感じで言い、頭まで下げた。
石火くんの恋心を知っているクラスメイトが、くすくす笑った。
「金井は? 来ないのかい?」
「金井は、墓参りで田舎に帰っているよ」
と、田中くん。
(ああ、ギャグ担当だった金井くんも、ご先祖様は大切にしているんだ)
失礼にも感心する石火くん。
「今井は? 今井も来ないのかい?」
「今井は、さあどうなんだろう?」
「知らないなあ、来るのか来ないのか」
今井くんの参加は、よく分からなかった。
しかし、
(来て良かった)
と石火くんは思った。
独り暮らしを始めた石火くんは寂しかったのだ。
誰も待っていないアパートに帰って寂しさが増すことには、まだ気がついていない石火くんだった。
(石井恋しい) いしい、こいしい!
(金井は田舎) かないは、いなか!
(今井曖昧) いまい、あいまい!
(寂しい石火さ) さびしい、いしびさ!
お読みくださった方、ありがとうございます。
次回、「続・のほほん」は、明日、水曜日の朝、7時前後に投稿予定です。
「ビキラ外伝」は、また話が出来たら、水曜日に投稿したいと思っています。
「風骨仙人の旅路」全4話。
「異物狩り」全4話。
「のほほん」全111話。
以上の物語が、完結しています。
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ではまた明日、のほほんで。