「新競技のルール」の巻
新しい競技の打ち合わせであった。
「吸い殻を沢山拾った者の勝ちじゃな?」
「いや、沢山ポイ捨てをした者の勝ちにしましょう!」
「そちらは捨てなされ。ワシらは拾うから」
「それじゃ、なにも無くなっちゃうじゃないの」
「振り出しに戻る、じゃな?」
「違うわよ、競技の痕跡が無くなっちゃうと言ってんのよ!」
「新しい競技じゃからな、色々あろうさ」
「継続させるためには、しっかりとしたルール作りを……」
「競技場が汚れては、継続は難しかろう?」
「だからって、私たちがポイ捨てした吸い殻を……」
「じゃから、ワシらが拾えば競技場は汚れぬぞ」
「違うわよ! それじゃ何もしなかったのと同じになると言ってるのよ!」
街おこしの新競技で、禁煙家と愛煙家が、ルールについて話し合っていた。
煙草ポイ捨て選手権か?
はたまた、
吸い殻拾い選手権か?
「松が山公園を、香しいニコチンの匂いで満たしたのは、私たちよ!」
「自慢げに言うでないわ。雨上がりなど、臭くてかなわん!」
「あら、私たち、深呼吸に行くのに!?」
「虹が見えたりして」
「タバコのポイ捨てを、情緒作りのように言うでないわ!」
「吸い殻は拾わせてもらう!」
「そこは、ヒャッホー! 譲っても良いけど……」
「いや、ヒャッホー! など譲られても困る」
「長老、『百歩』の言い間違いですよ、たぶん」
「な、なんとな? そんな、解説しなければ分からんようなボケは困る!」
口角泡を飛ばし、目を血走らせて話し合っていた。
飽くなき探究心と言えた。
かも知れない。
(血眼な街)
ちまなこな、まち!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
明日も「続・のほほん」を投稿いたします。
よろしかったら、お付き合いください。
同じ回文オチ形式のショートショート「魔人ビキラ」は、
117話くらいで第一部が完結しています。
気が向いたら、読んでみて下さい。




