「七曲がり川」の巻
七曲がり川はその名の通り、気分屋の@課長の如く、思春期の少年の如く、紆余曲折した形で海へと流れ込んでいた。
川の流れはそういうものだ。
曲がった姿に風情がある。
その屈折した姿は、自然の織りなす「美」と言うものだ。
だが、七曲がり川は、
「もっと真っ直ぐに流れたいっ!」
と情緒のない事を考えていた。
そんな思いがつのっていたある日、大雨が降った。
大雨にも関わらず、七曲がり川は律儀に曲がりくねって人里を横切り、ごうごうと海に流れ落ちていた。
「ああ、まだるっこしい!」
「ワープとは言わん」
「テレポートとは言わん」
「一気に海をめざしたい!」
その思いは激流となり、一気に人里を越えて海に迫った。
左様。
せっかちな七曲がり川は、人里の上空を飛んだのである。
決壊寸前であった幾つかの町の堤防は、激流が飛び越えて行ったので、崩壊せずに済んだ。
「ううっ。体力が大幅に削られるなあ」
七曲がり川は、大ジャンプに懲りた。
「やはり、大人しくウネウネと流れよう」
しかし、七曲がり地方の、大雨の日の七曲がり川の奇跡の大ジャンプは、人間が滅びるまで、長く語り継がれたのであった。
人類が滅亡した今も、七曲がり川は滔滔と流れ続けている。
(分かる分かる変わる川)
わかるわかる、かわるかわ!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
明日も、回文で、ポン!「続・のほほん」を投稿します。
同じ回文オチ形式のショートショート「魔人ビキラ」は、全117話で終了しています。
よかったら、読んでみて下さい。
ではまた明日、「続・のほほん」と「蛮行の雨」で。
 




