「女房の一計」の巻
「枕草子」をご存知だろうか?
平安時代中期の歌人、清少納言の書いた随筆集である。
現代では、「方丈記」「徒然草」と並んで、日本三大随筆と称される古典文学なのだそうだ。
「源氏物語」を書いた紫式部は、中々したたかに清少納言の人間性を罵っており、
「才覚があり、有名になりすぎて、大変やったんやろなあ」
と、当時をぼんやりと推しはかるばかりである。
さてその「枕草子」。
ウケたは良いが、良いネタが次々と浮かぶはずもない。
机を前に、「うんうん」唸っている清少納言を見て、同じく一条天皇の皇后、定子様に使える女房たちは同情し、一計を案じた。
いわゆるショック療法。
仲間によるネタ作りである。
机を前に頭を抱えている清少納言の傍らを、熊の着ぐるみを被った仲間の女房が、どーーっ! と走って横切ったのだ。
「どひゃあ、熊じゃん?! 宮廷に熊?!」
清少納言は驚き、驚いた自分の気持ちをサラサラとメモ書きした。
定子様に頂いた紙は、まだ沢山あったのだ。
「しかし、宮廷に熊は、突飛すぎる」
「また、悪口を言われそうな気がする」
「ウケ狙いの駄文とかなんとか」
熊の一件は、「枕草子」には加えなかった。
が、気分転換にはなったので、つれづれなるままにまた、主君定子様の、いとをかしきエピソードを書いた。
「自然体が良いのよね」
と、自分に言い聞かせる清少納言だった。
地球が球体だと知られる前の、やんごとなきお話である。
(枕草子嘘野良熊)
まくらのそうし、うそのらくま!!
読んでくださった方、ありがとうございます。
また明日も「のほほん」を書きたく存じます。
在庫が危なくなって参りました。
秘中のボツ原稿が出てくるのか?
実は、腎臓癌を患った時(左腎臓全摘出。しかし、ずっと先の手術日を待つ日々も、落ち着かないものでした)、自分を励ます意味を込めて、癌ネタのショートショートを幾つか書きました。
自分に対して書くのは良い。
しかし、これは他人に読ませるモノではない。
と思いまして、今まで封印して参りました。
で、読み返して、「やはり発表できるシロモノではない」と考えましたので、墓場まで持って行きます。
わざわざ書いて、申し訳ありませんでした。
癌と向き合うために書いたのですが、当時の自分の苦悩が見え隠れしていて、同情してしまいました。
だが、同情なんて真平だ。
と言う自分も居りまして、なかなか面倒臭い(自分がね)。
そうそう。
知人に、「手術は二ヶ月待たされた」と言ったら、大した事ないから、待たされたのでは? と言われた。
ちゅうわ! がんセンターやから、ずっと予定が詰まっているんや。
オレは、手術のキャンセルが出て(たぶん、その患者さんは、もっと早く手術してくれる病院を見つけた)、これでも早く手術してもらえるようになったのだ!
と言う事は、喚いてしまった。
明日も、ナンセンスしますさ。