「ぼくはゾンビーノ」の巻
ぼくはゾンビだ。名はゾンビーノ。
ゾンビ村生まれの正真正銘のゾンビなのである。
昨今、人間がヘンテコなウィルスを造って、軽々にゾンビの量産をしていると聞くが、そんなモドキではない本物のゾンビが、ぼくだ。
しかし、目覚めてみれば病室と来た。どう言うことだ。
此処はどこだ?
ぼくは腕に刺さった点滴針を引き抜いた。
もしや人間め、ぼくを量産ゾンビと間違って人間に戻そうとしたか?
パジャマから出た前腕と手を見るが、大丈夫だ。全体にただれて紫色をしている。
歩いてみると、見ろ! ギクシャクしている。
自然と両腕が前に突き出される。うむ大丈夫。ゾンビだ!
洗面所の鏡で顔を見ると、おお! 剥き出しの歯並び。剥き出しの眼球。紫色のズタボロの皮膚。
何も変わった所はない。安心した。
それにしても、腹が減った。人間を食わねば。
世界の支配はもう少しだった。もうすぐ我らゾンビの時代が来るのだ。
ぼくは心地よい予知に酔いつつ、病室を出た。
「彼はハイパー化しませんでしたね」
「残念だが、稀にあることだ、気にしなくていい」
「ああ、食べるのを我慢するのは大変だった」
「進化を拒んだのは彼自身だ。仕方ないさ」
マジックミラー越しにゾンビーノを見て、話し合う角ある医師たち。
世界は角付きゾンビに支配されようとしていた。
「スーパーハイパーゾンビが出現したら、我々はどうなるんでしょう?」
「心配しなくて良い。自然の摂理が解決してくれるさ。弱肉強食と言うセツリが」
(心地良い予知此処)
ここちよいよち、ここ!
明日、日曜日はお昼の12時前後に投稿予定。
「魔人ビキラ」本編。四百字詰原稿用紙10枚の大作!
「奇遇ですね、お嬢さん」の巻。素浪人ププンハン登場。
月曜日(2月12日)は、諸事情あって、投稿しないか、してもお昼の12時頃の投稿になると思います。
ほなまた明日、「魔人ビキラ」本編で。