「夕暮れの墓標」の巻
水平線に夕陽が沈もうとしていた。
赤く焼けたその美しい景色を見ようともせず、砂浜を歩いている影が三つあった。
「あのう、スタッパさん」
「なんだい、ガタタン君」
「ぼくたち、ロボットでいいんですよね?」
「違えよ。キミは平凡なロボットだけど、オレは宇宙怪奇獣、エイリアンだよ」
「そして、ロボットのガタタン君と、エイリアンのスタッパさんをこの星に連れて来たのが私、宇宙魔人のムヘールだ」
「えっ? 宇宙魔人?!」
驚いて背後を振り返るロボットとエイリアン。
「な、なんだよ。何を今さら驚いてんの? 誰が君たちをここまで運んで来たと思ってんの?!」
「いやーー、自分で飛んで来たのかと」
エイリアンは、双頭を振って歩いた。
「ぼくもです。空は飛べたような気がする」
背中の壊れた推進器を撫でながらつぶやく。
「コールドスリープでラリったのか、君たち?!」
「ぼくも宇宙人ってことはないですか?」
「その四角張った身体で何言ってんの。だいたいオイル切れで、右ヒジがキイキイ言ってるでしょうが!」
「あなただって、左ヒザがギイギイ鳴っているじゃないですか」
「私はサイボーグ宇宙魔人なんだよ。宇宙の長旅で、体にちょっとガタがきてるだけだよ」
「ぼくはただの宇宙人が良いなあ」
頭を真後ろに向けたまま、ガタタン君は歩いた。
「で、いつまでこの砂浜を歩くの? 足の水掻きがくすぐったいんだけど」
「うん。この先に墓標があってね、まずはそこで願掛けしようと思って」
「へえ、こんな所にお墓が?」
と、エイリアン。
「『ジユウノメガミ』って言うんだってさ。半分、砂に埋もれているらしいけど、この星の支配種族の記念碑なんだ」
「見たあとは、どうすんの? 宇宙人さん」
「私たち三人で、この星を建て直すんだよ」
と、ムヘールは四本の腕を大きくひろげた。
「うへえ。重労働」
「あっ、ぼくがロボットだと思って! ぼくだって、心も観念もあるんですよ!」
「右に同じ!」
「UFOに乗る時、説明したよねっ! 私が!!」
(観念的天然か)
かんねんてきてんねんか?!
お読みくださった方、ありがとうございます?
↑。この作品は、映画「猿の惑星」へのオマージュです。
面白かったなあ、あの映画。その事を考えると、よくこんな失礼なモノが書けるね?! なんだけど。
「続・のほほん」は、月曜、火曜、木曜、土曜の、朝6〜7時頃に投稿予定です。
「魔人ビキラ」系は、水曜、金曜、日曜のお昼12時頃に投稿予定です。
ほなまた、明日はお昼の12時前後に「魔人ビキラ」で。