ビキラ外伝「ビキラと回復院」の巻
体調不良で回復院を訪れた魔人ビキラは、看護師さんに促されて症状を紙に書いた。
「職業は賞金稼ぎなんですけど、身体がだるくて、やる気が起きなくて、おたずね者を見逃す事もあります」
その書面を覗き込んで、
「駄目じゃないですか!」と小声で叫ぶ看護師さん。
「はい。そうなんです。すみません。えーーっと、気力が起きないんです。やるぞ! っていう気力が」
と書き込むビキラ。
「睡眠不足ですか?」
「うーーん。そこそこ眠っていると思います」
「重労働ですか?」
「そうですね、ヘタ放くと死ぬかも知れませんから」
「食事の方は、食べ過ぎとか、食べなさすぎとか、ありませんか?」
「あーー、捕り物はエネルギーを使う仕事なので、常に大喰らいですな」
と、横から相棒の古書、ピミウォが言った。
「日常生活に不安とか、恐怖はありませんか?」
「むーーん。収入が不安定で、毎日ワクワクしています」
「ふむふむ。偏屈性があるようですね」
「よく言われます」
ミトラは強烈な眠気に襲われて、イビキを掻きながら、症状を書いた。
(倦怠感書いたんけ)
けんたいかん、かいたんけ?!
お読みくださった方、ありがとうございます。
明日も、回文オチのショートショート「続・のほほん」を投稿します。
お楽しみ頂けたら、さいわいです。




