「北海道旅行」の巻。ミチコ&タカシ編。
玄関先で、夫のタカシくんを見送る妻、ミチコ。
「タカシさん、今月、頑張ってね。出来るだけ残業してね」
ミチコさんが、ガチの眼光を放って言った。
「えっ? うちの部署、今はヒマなんだけど」
タカシくんは少し戸惑っている。
「忙しい所に手伝いに行けば良いじゃないの。同じ会社なんだもの、持ちつ持たれつよ」
「ああ。うん。忙しい時は、他の部署の人に助っ人に来てもらったことあるよ」
「でしょ、でしょ」
「でも、どうしたの急に。家計が苦しいの?」
ミチコさんの無駄使いにやんわり触れる勇気あるタカシくん。
「ううん。ちょっと夫婦で旅行したいと思って」
「えっ?! どどど何処に?!」
海外とか言われると、ちょっとやそっとの残業では済まない。と思うタカシくん。
「北海道の釧路にちょっと」
「ああ、国内か」ホッとするタカシくん。
だが、タカシくんの住まいから北海道だと、ちょっとやそっとの海外より高くついた。
「でも、なんで釧路? よろしくしろよ? そんな感じ?」
「そそそそそそんな訳ないでしょ!」
ミチコさんは大慌てで否定した。
「じゃあ、今日はたぶん、残業で遅くなるよ」
タカシくんはそう言って、出勤した。
「ああ。危なかった。カスったわ、少し。でも、バレてないはず」
胸を撫で下すミチコさん。
思いついた旅行先が、釧路だったのだ、回文で。
タカシくんは、非常に惜しかった。
(よろしくね釧路よ)
よろしくね、くしろよ!
お読みくださった方、ありがとうございます。
昨日は「魔人ビキラ」本編を、諸事情あって投稿出来なかった。
明日は、「ビキラ外伝」の曜日だけど、投稿し損ねた「ビキラ」本編の予定。
ほなまた、明日。「魔人ビキラ」本編で。