「四字熟語の恐怖」の巻
かの者たちは頑固だった。
コンガぐらい頑固だった。
「頑固なコンガ」である。
「魔人ビキラ」で使った回文なので、横に置いておく。
どっこいしょ、である(よし。横に置いた)。
「ここは譲れぬ。そちらが下がれ!」
「わしが先に足を置いた。この丸木橋は、わしが先に渡る権利がある!」
「いんや! わたしが千里眼でこの橋を先に見ていた」
「なんの。ワシは三日前に予知夢でこの橋を渡っておる」
「丸木橋の上でケンカ始めやがったよ」
「西の街のヘンクツ頑固オヤジと、東のヒネクレ頑固ジジイだ」
「こりや、どっちも引かねえぞ」
順番を待つ人々がボヤいている。
「うん? 待てよ。ヘンクツとヒネクレが揃っているのか?」
「おう。界隈の嫌われ者が!」
千載一遇のチャンスとばかりに、西の街の人々と東の街の人々は、力を合わせて丸木橋を谷底に落とした。
ヘンクツ頑固オヤジと、ヒネクレ頑固ジジイもろともに。
「一石二鳥とはこの事だ!」
「いや、一挙両得だろう!」
「一石二鳥は、近代文化の国、エゲレスの言葉だぞ」
「一挙両得は、歴史ある中国の言葉だぞ」
「ここは、勧善懲悪で良いのではないか?」
「ええい、北の物知り博士は黙ってろ!」
「西のコトワザが正しいか?!」
「東のコトワザが正しいか?!」
「勝負だ勝負っ!!」
嫌われ頑固者二人が無事に退治されたというのに、二つの街には禍根が残った。
世の中ままならないもんだ。
という寓話かも知れない。
(禍根が残るこの頑固か)
かこんがのこる。このがんこ! か?!
お読みくださった方、ありがとうございます。
明日も「続・のほほん」を投稿します。
同時連載中の、
「召しませ!『蛮行の雨』転生したら場違い工芸品にされたって本当ですか?!」
第三十一話「風のシュクラカンス」後編も午前中、10〜11時に投稿予定です。
ではまた明日、のほほんで。




