「台風対策」の巻
「接地点、以上なし」
レーダーを見て、フジタが言った。
「重力、異常なし。重心、オーバーフロー」
操舵手が報告する。
「構うな。相手は台風だ。並の力では勝てない」
ウガミ艦長が言った。
「芯棒、第三段階」
また、操舵手の報告。
「機首を上げろ。出力百二十パーセントだ」
と、ウガミ艦長。
「出力、百二十パーセント。回転軸、安定しました」
と、機関長。
「行くぞ。めざすは台風八号だ。目にもの見せてくれる!」
ウガミ艦長の鼻息は荒かった。
「面舵いっぱい!」
艦長の指示に、操舵手が右一杯に舵を取った。
こうして苫小牧市は大地に立ち上がった。
凄まじく回転しながら。
今、北海道を襲おうとする台風八号を、巨大な駒の逆回転アタックで相殺しようと言うのだ。
市域は東西三百九十九.九キロメートル。
南北二十三.六キロメートル。
総面積五百六十一.五平方キロメートル。
回転するには歪な形と言えた。
が、人類の叡知、ウルトラジャイロスコープのパワーで、バランスを崩す事なく、台風八号に立ち向かって行った。
行け! 苫小牧市!
北海道を台風の魔の手から守るのだ!
「突進!」
地上の混乱には目をつむり、苫小牧トップ零号のウガミ艦長は、勇ましく号令した。
(苫小牧今駒と)
とまこまい。いま、こまと!!
お読みくださった方、ありがとうございました。
明日も「続・のほほん」を投稿します。
ではまた、明日!
 




