「名前は便利!」の巻
五十嵐さんは、白髪頭だった。
(白髪五十嵐)
しらが、いがらし!!
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井頭さんは、死んでいた。
(井頭死骸)
いがしら、しがい!!
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有名な彫刻家の作品なのだが、名前が思い出せなかった。
(ロダンだろ)
ろだん、だろ?!
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紳士ンアは、落とした財布が見つかってホッとした。
(安心した紳士ンア)
あんしんしたしんし、んあ!!
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その恰幅のよい作家は、崖の上で滝を掘り当てようとしていた。
明石に新しい名物を造って、その事も自分の著作に書き加えようとしたのである。
(稲垣足穂の掘る滝が無い)
いながきたるほの、ほるたきがない!!
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名もない土地神は、人々を守るため、侵略してきた邪神と相打ちになって死んだ。
誰にも知られずに。
(死なむ土地神がちと虚し)
しなむとちがみが、ちと、むなし!!
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土地神は死の直前、走馬灯を見た。
市井の人々と、お伊勢参りをしている自分を見たのだ。
だから、笑って死んだ。
(市井の民と見たの伊勢市)
しせいのたみと、みたの。いせし
読んで下さった方、ありがとうございました。
明日も「続・のほほん」でお会いしましょう。
同時連載中の、
「召しませ!『蛮行の雨』転生したら場違い工芸品にされたって本当ですか?!」
第二十八話「我、改造人間第一号なり!」後編も、
明日に投稿します。
良かったら、読んで見て下さい。




