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回文オチで、ポン!「続・のほほん」  作者: にれ たつや
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ビキラ外伝「潜む魔人ビキラと罠」の巻

魔人少女ビキラは、寂しい路地に身を(ひそ)めていた。

相棒の古書、ピミウォも一緒である。


おたずね者の隠れ家を突き止めたのだが、留守だったのだ。

それで罠を仕掛けて、帰って来るのを待ち伏せているのだ。


そうとは知らず、帰ってくるおたずね者、アッスン。

「なみだのいみを

    たみかみしめよ

 なみくみあげて

    ゆみふりしぼる」

訳の分からない鼻歌を唄いながら、隙だらけのアッスン。


そのアッスンの肩をワシ(つか)みにして、

「ワッ!!」と脅す者があった。

ドッキリキッド、その人である。


ビキラの回文妖術によって具現化した、仮初(かりそ)めの物質だ。


「うわ、ビックリした!」

と言って蹌踉(よろ)めき振り返った時にはもう、回文物体ドッキリキッドの姿は消えていた。


「よし、上手(うま)くいったわ」

物陰からほくそ笑むビキラとピミウォ。


そのビキラの両肩を(つか)んで、

「ワッ!!」

と脅すドッキリキッド。


「ひゃう!」

驚き叫び、地面に尻もちをついて、

「相手が違うでしょ、馬鹿っ!」

(しか)るビキラ。


しかしすでにドッキリキッドの姿はない。


何処(どこ)に行きおった?!」

ページを開いてキョロキョロするピミウォ。


「むう。貴様の仕業(しわざ)か小娘!」

物陰から転がり出たビキラを、小娘と見て近づいて行こうとするアッスン。

その前に、()えた(くい)幾重(いくえ)にも地面から飛び出した。


「うあっちちちちち!」

驚いて跳び下がるアッスン。


第二の罠。

「幾重にも煮え杭 (いくえにも、にえくい!!)」であった。


気を取り直したアッスンの前を、今度は魚の群れが横切った。

気を()がれるアッスン。


第三の罠、

「横断だ魚 (おうだんだ、うお!!)」

である。


「ドッキリキッドはどこ? あいつ、何をしてるの?!」

「あそこの木で、休んでいる小鳥を脅しておるぞ」

「こらっ、ドッキリキッド! 脅す相手が違うでしょっ!」

叫ぶビキラ。


そこに現れる、

「お汁粉に凝る塩 (おしるこに、こるしお!!)」

第四の罠である。


「お汁粉は甘いですが、塩味が大切です」

「ふむふむ」

塩の説明に耳を傾ける甘党のアッスン。


「砂糖に比べれば、ほんのひとつまみ。しかし、そのひとつまみが、(キモ)なのであります」

「なるほど!」

(ひざ)を打って聞き入るアッスン。


ビキラはそうして、ようやくおたずね者を捕らえたのであった。

「でかしたわ! ひとつまみの塩!」

「やはり最後は、確かな塩じゃのう!」

「ワッ!!」

「きゃっ!」


ドッキリキッドに脅かされながら。



(でかしたわ確かで)

でかしたわ、たしかで!!




お読みくださった方、ありがとうございました。

明日も「続・のほほん」がありましょう。


回文妖術師と古書の物語「魔人ビキラ」は、

第一部が終了しております。

本編は、少しだけ長いですが、回文オチは同じです。

よかったら、こちらも読んでみて下さい。


ではまた明日も、のほほんで。

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