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回文オチで、ポン!「続・のほほん」  作者: にれ たつや
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ビキラ外伝「ビキラとシズエ」の巻

魔人少女ビキラは、大泥棒シズエを路地の奥に追い詰めた。

廃屋を背に、身構えているシズエ。


回文妖術師ビキラは、回文を詠唱した。

回文を具現化して武器とするのが、暴力の次に得意なビキラであった。


「足りない成田 (たりない、なりた!!)」


布に(くる)まれた成田ちゃんが、具現化した。

地面に置かれた状態であった。


成田ちゃんは軽かった。

     重さが足りなかった。

成田ちゃんは小さかった。

     長さが足りなかった。

成田ちゃんは生まれて間がなかった。

     人生が足りなかった。


成田ちゃんは赤ん坊だったのだ。


「なっ、何してんのあんた!」

大泥棒シズエは、泣いている赤ん坊成田ちゃんに駆け寄り、抱き上げた。


抱き上げて、成田ちゃんをあやし始めるシズエ。


その様子を見て、

(よし! うまくいった)

        とほくそ笑むビキラ。


成田ちゃんは、妖力によって具現化した仮初(かりそ)めの物質にすぎない。

三十分もすれば、妖術限界がきて消えてしまうのである。


とは言え、シズエの母性本能に訴える作戦だったのだ。


成田ちゃんをあやしながら、故郷に置いてきた夫と子供を思い出すシズエ。


(出世を果たしたら、必ず帰るからね)

(許して頂戴、タメゾウさん、カズエちゃん)

(それまで、このワガママな母ちゃんを許して頂戴)

自分に酔いながら、成田ちゃんをあやす大泥棒シズエ。


成田ちゃんは泣き止み、笑顔を見せた。

その成田ちゃんの笑顔を見て、つられて菩薩(ぼさつ)のような笑みを浮かべるシズエ。


(ふっ。やったね。もう捕まえたも同然)

と、ビキラは思った。


あとは、妖術限界を待つばかりである。

(目の前で赤ん坊に消えられたシズエは、失望のあまり抵抗する力を失うであろう)

と、踏んでいた。


自分もつられて、捕えるチカラを失う事になろうとは、ビキラはまだ気がついていなかった。


シズエと抱き合って泣くとは、思ってもいなかった。



(泣いたみたいな)

ないた! みたいな?!?



お読みくださった方、ありがとうございます。

明日も、「続・のほほん」なのか?

はい、明日も「続・のほほん」を投稿します。


同時連載中の、

「召しませ!『蛮行の雨』転生したら場違(オー)工芸品(パーツ)にされたって本当ですか?!」

第二十五話「訪問者の名はダイラ」前編も、明日、木曜日に投稿します。

明後日、金曜日には、後編を投稿します。


こーーゆーーノンキな話にお付き合い下さっている方、ありがとうございます。

   今後も頑張ります。

             また、明日。

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