「ザッタムさんと鋭い三角形」の巻
ザッタムさんは家を買った。
中古の一戸建てであった。小さくもあった。
若いザッタムさんは貯金もなかったので、バリバリのローンを組んだ。
リフォームもローンを組んだ。
「苦労をするのは未来のぼくだ。今のぼくはこの幸せを満喫しよう」
と考えていた。
安かったからか家の形は、変わっていた。
三角形であった。
空いた空間に無理矢理、家を建てた、感じだった。
(建築チンケ) けんちく、ちんけ!!
ひとつの角は鋭かった。
鋭角二等辺三角形である。
しかしこれで、
「一国一城の主だ!」
若いのに、時代劇が好きなザッタムさんは、変形の四畳半に寝転んで天井に向かって叫んだ。
「余は殿様なるぞ! 下がれ下郎!」
少し痛いところのあるザッタムさんだった。
「これからは、言葉遣いも気をつけないとなあ。殿様なんだから」
鋭角家屋は、ザッタムさんに意識改革をもたらしつつあった。
「トノサマガエルも飼わないとなあ」
(鋭角か家) えいかくか、いえ!!
「余はザッタムである。皆の者、頭が高い!」
「手討ちに致す!」
「越後屋そちも悪よのう」
「いや、これは悪代官の台詞か?」
殿様の言葉使いは知らないザッタムさんだった。
「今だけ! 今だけ! オレ、殿様!」
ザッタムさんは、声帯が痛くなるまで叫び続けた。
(痛い声帯) いたいせいたい!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
「続・のほほん」は、明日も投稿します。
同時連載中の、
「召しませ!『蛮行の雨』転生したら場違い工芸品にされたって本当ですか?!」
ごく個人的な意見ですが、面白いです。
私のアタマがオカシイのかも知れませんが、面白いです。
よかったら読んでみて下さい。




