「天と地と海と」の巻
「口では惑星を守ると言いながら、汚染物質を撒き散らすばかりだ。困ったのう、人類にも」
と、大地はつぶやいた。
「どうする? もう一度やるか?『ノアの方舟』
と、天空が言った。
「うむ。星が酷くなる一方であるから、一度リセットした方が良かろう」
「前の時は、どうやって洪水を起こしたっけな?」
「直径十キロばかりの隕石を、この星にぶつけてもらった」
「うんうん。銀河様に頼んだのだったな」
「洪水と、火災と、地震と、寒冷化などで、またかなりの生命体が失われるであろう。脆弱な人類など、ひとたまりもあるまい」
「うむ。人類が全滅すれば、それで良い。シブトい連中がまた、仲間を増やして、生命樹を描き直すさ」
ところが銀河様には、
「地球にはもう何回も隕石を落としたから、もう打ち止めですわよ」
と、断られてしまった。
「ひゃあ、困った」
と、大地。
「仕方がない。マントル殿に頼んで、すべての陸地をひっくり返してもらおう」
と、天空。
「他人事だと思って、言うのう。お主は」
大地は眉を寄せた。
「まあまあ。洪水も起こるから」
と、なだめる天空。
マントル殿は、心良く大地と天空の頼みを聞いた。
地層がかゆかったからである。
「勝手にひっくり返したら、こっぴどく怒られる所だった」
マントル殿は、冷や汗を拭くのだった。
(天地の珍手)
てんちの、ちんて!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
明日も「続・のほほん」を投稿します。
完結済みの、
回文妖術師と古書の物語「魔人ビキラ」と、
回文ショートショート童話「のほほん」も、よかったら読んでみて下さい。




