ビキラ外伝「ビキラ縄をなう」の巻
魔人少女ビキラは、街角でおたずね者を見つけた。
彼女は賞金稼ぎである。
賞金首を捕まえて生計を立てているならず者だったので、無論、捕まえようと思った。
「しかし街の中じゃ。街に被害が出ないようにな」
ビキラの肩に立つ、相棒の古書ピミウォが言った。
「弁償で、賞金が飛んでしまうかも知れんでな」
「わかってるわよ」
魔人ビキラは、そこらに生えていたシュロの木の皮を剥いで、縄を綯い始めた。
「盗人を見て縄を綯う」
というコトワザに従ったのである。
少し、勘違いをしていたのである。
無事に素早く縄を綯い終えるビキラ。
縄の先に輪っかを作った。
投げ縄の要領で、おたずね者を捕らえようと言う訳だ。
「えいっ!」
おたずね者に輪を投げるビキラ。
縄は、
「ウホッ!」と叫んでおたずね者を襲った。
その二人? の声で投げ縄に気づき、からくも避けるおたずね者。
「な、なんだ?!」
「あっ、失敗した」
素早く縄を引き戻すビキラ。
「えいっ!」
と、ビキラ。
「ウホッ!」
と、投げ縄。
「だから何なんだよ、お前は?!」
「その『ウホ』って言うのやめなさいよ。気づかれるでしょうが」
「ウホッ!」
「もう気がついたから捕まんねぇよ」
「えいっ!」
「ウホッ!」
「わっ。だから投げ縄は無駄だって言ってるだろうが!」
結局、ビキラは投げ縄をあきらめ、
「お待たせ玉男 (おまたせ、たまお!!)」
と言う回文で具現化した玉男さんに、おたずね者を捕まえてもらった。
ビキラは回文を具現化する回文妖術師だったのである。
「ウホッ! ウホッ!」
得意そうに叫ぶ投げ縄。
「こう言うの、コトワザで何て言ったっけ?」
「『結果オーライ』じゃ」
と、ピミウォ。
「ちげーーーよ!」
投げ縄は、いきなり真顔になって言った。
「『終わり良ければすべて良し!』だよ!」
(良いがウホい縄綯わない方が良い)
いいが、うほいなわ、なわないほうが、いい!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
明日も「続・のほほん」を投稿します。
同時連載中の、「召しませ!『蛮行の雨』転生したら場違い工芸品にされたって本当ですか?!」
第二十二話「フーコツと蛮行の雨の洗礼」前編。
は、本日の午後に投稿します。
後編は、明日に投稿します。




