ビキラ外伝「裏街道のビキラ」の巻
魔人少女ビキラは、賞金稼ぎである。
今日も今日とて、おたずね者を求めて裏街道を歩いていた。
肩に古書を乗せて、女の子が一人で木々に囲まれた薄暗い、人通りのない道を歩いているのである。
格好の餌食と言うヤツだ。
そんなビキラの前に現れる三人の男。
後ろに現れる二人の男。野盗だった。
「お嬢ちゃん、有り金置いて行きな」
数と体格にモノを言わせ、にやにや笑っている男たち。
ビキラの罠に掛かったのであった。
物取りあるあるだ。
「どう? ピミウォ。こいつらお金になりそう?」
自分の肩に立つ古書、ピミウォにたずねた。
「残念じゃが、ワシの持つ手配書にはない顔ばかりじゃ」
ページを振りながら、古書が答えた。
「ちえっ。はい、失格。あなたたち、迫力ないし」
と、腕を組むビキラ。
「なっ、何が失格だ小娘!」
「舐めてやがんのか?! 公園で吸い殻拾いをさせるぞ! キリがないんだぞ、ありゃあ」
ビキラは回文を詠唱した。
回文妖術師ビキラは、回文を具現化する妖力があるのだ。
「煮た粥が浴衣に (にたかゆが、ゆかたに!!)」
煮た粥をたっぷりと付けた浴衣が五枚も具現化し、野盗たちを襲った。
「熱っ、熱っ、熱っ、熱っ!」
「た、助けてくれえ!」
「おいら、お粥さんは苦手なんだよう!」
「参りました! 降参ですっ!」
「やめてやめてやめてやめてやめて!」
そして裏街道に正座させられる野盗五人組。
「まず、『有り金置いていきな』あれだけじゃ、全然駄目!」
と、説くビキラ。
「『下着も脱いで行きな!』、これも付け加えなさい」
「ひええ、そんな無体な」
「金がないなら、身体で払ってもらうぜ!」
「ええっ?! そ、そんな酷い」
「あなたたちが悪党として有名になってくれないと、こちらは商売が上がったりなのよ」
ビキラは、パン! と手を打った。
「はい。唱和するのよ。『股を開け、ぶっ殺すぞ』」
ビキラの言葉に絶句する野盗たち。
「何を黙ってるの! 腕を千切って欲しいわけ? あなたたち!」
「ま、またまたまたをひらけ」
「ぶっぶぶぶっころすぞ」
「元気が足りん! 野盗だろうがテメえら! ぶっ壊すぞ!!」
「お、お股を開いて下さーーい!」
「何もしませんが、ぶっ殺すぞーー!」
それぞれの道徳感、あるいは倫理観に反する事を叫ばされ、野盗たちはオイオイ泣いた。
(確かな事男泣かした)
たしかなこと。おとこ、なかした!!
お読みくださった方、ありがとうございます?
明日も「続・のほほん」を投稿します。
同時連載中の、
「召しませ!『蛮行の雨』転生したら場違い工芸品にされたって本当ですか?!」
は、来週は、火曜〜日曜日まで投稿予定。
ヒマか? はい、そんな感じです。
よろしくお願いします。




