「秘密」の巻。ミチコ&タカシ編
妻のミチコさんの誕生日に、こっそりプレゼントを用意しようと目論んでいる夫のタカシくん。
嘘の下手なタカシくんは、不審な挙動を繰り返していた。
上目づかいでミチコさんを見ながら食事をするので、さすがに見かねて夫をリビングの床に正座させるミチコさん。
「タカシさん、わたしに何か隠し事をしていますね?」
「いいえ」
「では、質問をするので、正直に答えて下さい」
「はい」
「わたしの作る食事が、そのう、イマイチである」
「いいえ」
すでに味に慣れっこのタカシくんは、しっかりとミチコさんの目を見て答えた。
ホッとして、次の質問に移るミチコさん。
「わたしの歩く速度が速くて、追いつくのに苦労している」
「いいえ」
ホッとして、次の質問に移るミチコさん。
「わたしの夜の生活が激しいので、閉口している」
「いいえ」
「わたしのイビキが大きくて眠れない」
「いいえ」
ふと思い出して、ミチコさんは、
「わたしの誕生日が近いと思う」
と言った。
「いいえ」
タカシくんは天井を見上げて答えた。
「わたしの誕生日に、何かしたいと思っている」
「いいえ」
今度はうつむく青年、タカシくん。
「質問は以上です」
さすがにミチコさんにもピンと来るものがあり、質問を打ち切った。
(そう言えば、去年もこんなことがあったっけ)
ミチコさんは思い出したのだった。
そうして思うところがある二人は、お互いを見つめ合いながら食事を続けた。
上目づかいで。
(そうなんだね旦那嘘)
そうなんだね。だんな、うそ!
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明日も、「続・のほほん」を朝の7時前後に投稿予定です。
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ほなまた、明日。「続・のほほん」で。