表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回文オチで、ポン!「続・のほほん」  作者: にれ たつや
119/276

「大シズカ、小シズカ」の巻

中野辺(なかのべ)村の警備隊は、屈強で有名だった。


これまでも、迷い魔獣、ハグレ魔族の侵入を許した事はなかった。

それと言うのも、警備隊の二人の女隊長、(シズカ)がケタ(はず)れに強かったからである。


二人は名前が同じだったので、大柄な方を大シズカ、小柄な方を小シズカと呼び、区別されていた。


「聞いたか、大シズカ。帝都を襲った魔族どもが、バッチリこの中野辺村に向かって敗走しているそうだぞ」

「うん。今から帝都に援軍を頼んでも間に合わないし」

  大シズカは、苦々しい笑みを浮かべて応じた。

「困ったものだ」


「村人たちは逃げ出す準備で忙しい」

「ちょっと二人で、敗走魔族の様子を見に行こうか?」

「そうしよう、大シズカ」


谷を越え、山に登り、中野辺峠から敗走魔族の様子をうかがう大シズカ、小シズカ。


「なんだ、魔族どもヘロヘロだな」

  小手をかざして言う大シズカ。

「身の程知らずを絵に描いたような敗走ぶりだな」

  と、苦く笑う小シズカ。


「ここからこれらの岩を落としたら」

  と、岩に隠れて言う大シズカ。

殲滅(せんめつ)できるんじゃないか?」

「そんな事をしたら、峠の名物、千体ダンゴ岩が失くなってしまうぞ」

「村が蹂躙(じゅうりん)されるよりはマシだ」

「それもそうだな」


そして、岩を落とし始める大シズカ、小シズカ。


「むう。(ふた)付きのダンゴ岩は、手強(てごわ)いな」

「なあに、二人でやれば、蓋付きダンゴ岩でも落とせるさ」

(さわ)やかな汗を(ひたい)に浮かべて、小シズカが応じた。


そうして、峠の名物千体ダンゴ岩、フタのような帽子を(かぶ)ったダンゴ岩も次々と落とされた。


街道を逃げていた魔族どもが、ことごとく死んでも、二人シズカはダンゴ岩を落とし続けた。

彼女らは、とてもタフだったのである。

そして、とても面白くなってしまったのである。


特に蓋付きダンゴ岩は手強く、落とし甲斐(がい)かあったそうだ。


新しく、街道のダンゴ岩を片付ける二人の女の姿が、中野辺峠下の名物になった。



(二人静ずしりタフ) ふたりしずか、ずしり! タフ!!

(蓋物もタフ) ふたものも、タフ!!




お読みくださった方、ありがとうございます。

明日も「続・のほほん」を投稿します。


「召しませ!『蛮行の雨』転生したら場違(オー)工芸品(パーツ)にされたって本当ですか?!」

も、連載中です。よかったら、読んでみて下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ