「置き忘れ仲良し旅」の巻ミチコ&タカシ編
ミチコさんとタカシくんは旅行をしていた。
二人はまだ若く、夫婦であった。
タカシくんは、岡山県の西端の街で、傘を置き忘れてしまった。
雨が上がったのが、悪かった。
「何やってんのよ、もう!」
妻のミチコさんは怒った。
タカシくんは叱られながら、
(笠岡に傘置く)という駄洒落を思いついた。
さらに妻に叱られる、と思い口には出さなかったが。
今度は、ミチコさんが九州に渡ってすぐに、服を置き忘れた。
あったかくなって、薄い上着を一枚を脱いだのが悪かった。
「何やってんのよ、もう!」
ミチコさんは自分に怒り狂った。
タカシくんは、妻のミチコさんの狂乱ぶりを見ながら、
(福岡に服置く)という駄洒落を思いついたが、妻がさらに怒り狂うと思い、黙っていた。
「夫婦そろって忘れ物をするなんて、情けない」
とミチコさんはうなだれるが、タカシくんは、
「似た者夫婦だ」
と、ちょっと嬉しかった。
むろん、口をむずむずさせながら必死に黙っていたが。
置き忘れ仲良し夫婦、と言えなくもないミチコさんとタカシくんだった。
いたらぬ所は、夫婦仲良くいたらなかった。
(仲良いの良いかな)
なかいいの、いいかな?
見切り発車ながら、
去年の11月11日で第一部完結とした、
回文ショートショート童話「のほほん」の第2部、
「続・のほほん」です。
前の時は、1日2編以上の投稿、みたいな無茶をして、すぐに息切れしてしまいましたので、今度はマイペースでボチボチ投稿する予定です。
ただいま連載中の「魔人ビキラ」の投稿予定の、水曜日、金曜日、日曜日には、ダブらせての投稿はしません。たぶん。
ほなまた、明日。