第5回 下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞&冬の童話祭2024
空とぶ黄色い帽子
ひろき君は、誕生日プレゼントに黄色い帽子を買ってもらいました。
お気に入りの黄色い帽子をかぶって、今日もおでかけ。
今日は何してあそぶ?
お散歩していると、突然強い風が吹き、帽子がとんでいってしまいました。
「ボクの帽子! ボクの帽子!」
ひろき君は追いかけます。
「あー! ボクの帽子がぁ!」
「ワンワン! どうしたんだい?」
「イヌさん! ボクの帽子が空をとんでるの!」
「あの黄色い帽子かい? おいらに任せな!」
イヌさんは、自慢の足で追いかけ、帽子をとってくれました。
「イヌさん、ありがとう!」
ひろき君は帽子をかぶると、ニコニコ嬉しそうです。
ひろき君は、イヌさんとかけっこをしてあそびました。
するとまた、強い風が吹き、帽子がとんでいってしまいました。
「ボクの帽子! ボクの帽子!」
ひろき君とイヌさんは追いかけます。
「あー! ボクの帽子がぁ!」
「モォーモォー! どうしたの?」
「キリンさん! ボクの帽子を木がかぶってるの!」
「あの黄色い帽子かい? あたしに任せて!」
キリンさんは、長い首をのばして、帽子をとってくれました。
「キリンさん、ありがとう!」
ひろき君は帽子をかぶると、ルンルン嬉しそうです。
ひろき君は、キリンさんの長い首で滑り台をしてあそびました。
するとまたまた、強い風が吹き、帽子がとんでいってしまいました。
「ボクの帽子! ボクの帽子!」
ひろき君とイヌさんとキリンさんは追いかけます。
黄色い帽子は遠くまでとんでいき、やがて海にたどり着きました。
「あー! ボクの帽子がぁ!」
「キューキュー! どうしたのかな?」
「イルカさん! ボクの帽子が海に落ちちゃったの!」
「あの黄色い帽子かい? ボクに任せて!」
イルカさんは、得意な泳ぎで、帽子をとってくれました。
「イルカさん、ありがとう!」
ひろき君は帽子をかぶると、ウキウキ嬉しそうです。
ひろき君は、イルカさんの背中に乗せてもらい、海を探検してあそびました。
やがて、ひろき君はあそび疲れて眠ってしまいました。
イヌさん、キリンさん、イルカさんは、顔を見合わせます。
「ワンワン! 今日は楽しい大冒険だったぜ!」
「モォーモォー! 黄色い帽子カッコイイね」
「キューキュー! あしたは何してあそぶ?」
みんな嬉しそうにひろき君の寝顔を見つめています。
× × ×
黄色い帽子をかぶったひろき君は、おふとんでスヤスヤゆめのなか。
イヌさん、キリンさん、イルカさんのおもちゃを抱きしめています。
あしたも一緒に、あそぼうね。