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その先へ

まだ、まだ2月だよね?ね?

「うわっ!ヒル!」


「コラ!声立てないの!」


「すんません」


今俺らは軍隊のほふく前進のように(というかよく考えたらほふく前進だわ)身体を湿った地面にベッタリつけながら──────さながらそれこそ蛇のように進んでいた。


「鱗樹くん、春八くんの位置はどこら辺?」


鬼ノ城さんが小声で聞いてくる。

今敵がどんな感じか分からないため、少し迂回して回り込むように山上から進んでいる形だ。

この傾斜でほふく前進は流石に怖いんだが。


今は手を着くだけではなく、地面に全体的に着いているので位置が正確に分かる(様な気がする)。


「ちょうど20m先くらいで────ちょっと待ってください」


春八の他に──多分コレは半神なんだろうが………


「なんだコレ」


「どしたの?」


意味が分からない。

この感じたことの無い感覚。

半神だからで片付けられるモノなのか?

分からない、分からないがコレを言葉に表すとすれば。


「命があぶれてる─────?」


なんだこの形容しがたい感覚。


「命があぶれてる?」


「それはどういう事でしょう?」


こちら側に着いてきた存在自体重要機密(トップシークレット)さんが聞いてくる。


「なんか、こう」


俺でもよく分かってないから感覚で喋る。


「命の器?箱みたいな物があるとしてそれの底から沸騰してるみたいにブクブクって何かが溢れてるみたいな」


それも無尽蔵に


だが、そこに命が感じられない。


命の器から何かが溢れているのは分かるんだけどその器が命と言える定義なのか………………


「そんなイメージです」


そう言い目を開けると、2人が難しい顔をしていた。


「これってどう思う?千森ちもりちゃん───あ」


鬼ノ城さんはしまったという顔を見せる。


「まあ私なんて名前バレても何も無いですから」


微笑みながら千森──────千森ちもり 巳久みくは鬼ノ城さんを見る。


「しかもこの黒いフード邪魔なんですけど!」


そう言い黒いフードを脱ごうと腕をガサゴソと動かしフードを脱ぐ。


「いや取っちゃっていいんかい!」

「コレは先輩達が顔バレ身バレ防止に着けとけって言ってただけなんで」


頭をプルプル振りながら顔についた髪を払い除ける。


「まあ【READリード】に所属してる人にはバラしても何も問題ないでしょう」


「それもダメだからね………?」


鬼ノ城さんがそこは抑える。

まあ【READリード】の中でも【スペード】は知らないみたいだしな。


「それよりも命が溢れるっていうのは先輩が言ってた個体と同じ状態……?」

「鬼ノ城さん何か知ってるんです?」

「記録だけだけどねー────あー、いや、いやでもアレは違うか………?」

「?」


一体なんの事だろう、一応心当たりはあるようだが、結局鬼ノ城さんはその事は話さなかった。


「一応報告に上がってるヤツでね、この子の先輩」


クイッと親指を千森に向ける


「のアイツが戦った中で少し奇妙な個体───いや、正確には奇妙になった(・・・)個体が居たらしいんだ」


なった(・・・)という事は戦闘の最中などに変化したのだろう。


「なに………というかどう変化したんですか?」

「記録によるとねー………あ、これこれ」


鬼ノ城さんはタブレットをいじり、とある画面を見せてきた。


そこに映っていたのは──────うん、なんか、形容しがたいなコレ…………いや、コレは───?


画面の中の半神(ウェーバー)は身体がブクブクと泡のように広がっていったと思えばそれらが全て弾けて───中から顔から腹まで口が広がり、腕が3対4のアンバランスな形状へと移り変わった。


「んだコレ」


「分からない。けどこの時戦ったこの子の先輩曰く──まるで一体多数を相手しているようだったって」


「一体多数…………」


いや、というか。


「そんなもんどんな方法で倒したんですかよ」


……………。


「相手が多数で挑んで来たならこっちも多数で迎え撃てば良くない?って戦法で………?」


「いや聞いても分かりませんって………」


しかも回答者がなんで疑問形なんだよ。


「というより、今この現状どーする?」


「相手が特殊な個体なら下手に手出しできませんからね」


「…………あれ?」


「どったの?」


いや、コレ


「今まで感知してた場所に半神(ウェーバー)が居ません!」


逃げられた?いや、こちら側に気づいた様子は無かった………はず。

しかも強化?されてるなら尚更早く仕留めなければ───出来たてのこの時に倒さなければ──────!


急いで鬼ノ城さんの方向を向くと


「……………、」


鬼ノ城さんは千森をじっと見て。


「君なら一吞み(・・・)?」


それを聞くと千森は少し考え鱗樹にこう聞いた


「その半神ウェーバーの大きさ…………いえ、ここからの正確な距離と位置は?」


………………………………………え?


「いや、え?呑む?」


一撃・・ではなく一吞み(・・・)


「そんな事はいいから早く教えて」


鬼ノ城さんが急かす。


「正確な距離と位置………………」


無駄な事は考えないようにし、目をつむり、五感の全ての感覚をフルで使い─────


まだ先


もっと先─────


まだ行ける────────


この先───────────────







































「ここだ!」


早く伝えなければ──────


目を開くと、まるで眼球が燃え焼けていたかの様な炎覚を覚える。そして視界がぼやけて見える…………コレ、は!


眼球から水分が蒸発し、湯気がうっすら立ち上る中、朦朧とした意識の中ではっきりと聞こえる言葉を聞いた。


「ありがとうございます」


どさっと力無く横たわる彼を見て鬼ノ城さんの方を向く。


分か(つたわ)ったの?」


その言葉を聞き、静かに立ち上がる。


「ええ、なんたって彼とは同じタイプ(・・・・・)なので」


まだ【本】の事は知らない事が多いい、その中である特性の1つとして言葉を使わずにコミュニケーションをとる事──────テレパシーの様な事が出来る事がある。出来る事があるだけであり、全部が全部出来るわけでは無い。なりやすいのは、自分と近い人物(勿論【アクセッサー】でなければならない)、または自分と近しい【本】の場合。そしてそれらをひっくるめての大前提的に相手に伝える意思、聞く意思が無ければ言葉・・は伝わらないし聞くことも出来ない。

だが、

今回は相手に伝える意思、伝わる意志とともに強く心で言葉にした事によって心に感覚として伝わった。


「いや、同じタイプでも伝わらいって事もあるって言ってるでしょ………」


「でもまあちゃんと伝わりましたから」


足元にある黒いアタッシュケースを持ち上げる。


「じゃあ────、ここに【READ】が全権代理が1人鬼ノ城(きのじょう)葉七子(はなこ)の名において───────」


久々に聞くこの人からの命令・・


「世界に害をなす半神を捕獲、それが不可だと自己判断、状況的判断を下した瞬間、殲滅(・・)せよ。」







「全知の──の為に」

「全知の──の為に」




風が吹き抜け、誓いの言葉を掻き消した。


「」



















ギリギリに投稿申し訳ございません!

いや本当に。


どー話を進めよーかね、迷いに迷いましたよね。


やっぱり2本同時進行で考えるのはキツイなー

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