表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

異世界に行く前の話

貴重なお時間にこのページを訪れていただき、誠にありがとうございます。


かなりスローペースではありますが、大切な想いを込めて綴っていきたいと思います。

「人生ってつまんないな。異世界に行けたらなぁ〜なんて。でも異世界も過酷かもなぁ〜。オークだけの世界とか……うわ、想像するだけでもおっかね〜。結局は己次第なのかねぇ」


 俺の名はリュウカ。やりたいこともなく職を転々とし,やっと見つけた想い『人のために直接手を差し伸べて感謝されたい』を叶えるべく,アラサーで理学療法士となった男だ。


「理学療法士になれば人のために働けて,収入も安定して,人生輝くと思ってたんだけどな」


 理学療法士になったものの,俺は憂鬱な日々を過ごしていた。


『いや,人のために日々働いているし,収入も安定している,毎日感謝もされるし,なに自由はない。けどなんでだろう。満たされない日々だ』


 シーリングライトが薄く光るの天井に手を伸ばしてみたが,虚しくなるだけ。何も掴み取ることはできない。手についた猫の毛が見えるだけ。


「あぁ,彼女ほしい。彼女がいたら人生変わるだろう」


 根拠もないが素敵な出会いには憧れる。マンネリがこないように努力はすると決めている。というか、そもそもマンネリがこない女性に出会いたい。


 ……こんなことを考えていることが虚しいな。


「あぁ,その前に起業だ。俺には子供たちとの約束がある」


 俺は勤労学生をしていた頃,放課後等デイサービスでバイトをしてきた。バイトとはいえ週5〜6日,1日6〜7時間は働いていた。

 放デイには多動症や自閉症の子供をはじめ、緘黙症や限局性学習障害の子供たちが来る。障害特性を理解した支援が必要場所だし、多動症の子供たちはずっと元気だ。子供たちに振り回される日々,子供たちは毎日喧嘩をしたりもする。本当に大変だった。


「でも,すごく楽しかったな。すごくやり甲斐があったな」


 思い出せば胸に穴が空いたような気持ちになる。


 俺は退職したくはなかった。だが,上司に嫌われたらしい。理由もなく契約を更新してもらえなかった。しかも、子供たちはもちろんのこと,保護者にも職員にも退職の話をするなと言われた。


「ま、そんな約束は守らなかったけどな」


 俺は保護者に退職の挨拶や経緯を話した。


「個人的にはお別れの挨拶は大切だと思います。そうじゃないと,子供たちの中で区切りができませんよね。何も言わずにいなくなると,なんで教えてくれなかったんだろうってショックを受ける子もいると思いますし,悲しむ子もいると思います。最後なら伝えたいことがあったのに,と後悔する子もいると思います。だから、挨拶は大切だと思っています」


 上司は「子供たちにいらない不安を与えたくないから言わないでください。いつの間にかいなくなってたと思わせたい」と言う。でも俺は,


「悲しむとしても、区切りをつけるために必要なことだと思います。要らない後悔を生むより良いはずです」


 そう伝えた。保護者たちも,口を揃えて言ってくれた。


「感謝を伝えたいし,子供と一緒にバイバイしたい。挨拶は大切だと思いますけどね」


 だから,伝えられる限り子供たちにも挨拶をしたんだ。すると,これからどうするのか聞いてくる子もいたから,他の放デイに行くか,自分で放デイをつくると話した。

 子供たちは同じことを言った。


「先生のところに行きたい!」

「先生が施設つくってよ!」


 実は、保護者たちも同じことを言っていた。俺が今後のことを伝え,一応名刺を渡したとき,


「先生が転職したら,うちの子も先生のところに通わせます!」

「先生が施設つくったら,うちの子も先生のところに通わせます!」


 退職後、子供からチャットもきた。


「せんせいにあいたいよ。せんせいにあえなくて泣いているんだよ」


 最初はイタズラかと思ったが,どうやら本人のようだった。俺の名刺を見てスマホに登録し,頑張って連絡してきたらしい。俺に会いたいがために9歳で頑張ったんだ。


「やべ、今思い出すだけでも泣きそうになる」


 もちろん、俺はお母さんにチャットして良いか確認するように伝えた。すると,お母さんからもチャットがきた。


「子供は先生がいなくなった事がかなりショックみたいで,昨日だけで2回泣いてました。

 でも,チャットのアイコンに先生の顔が映っているのを見て,『ここを見ればいつでも先生に会えるから』と嬉しそうに眺めていました。

 本当に大好きなんだなって思いました。

 子供たちは『先生がいないならもう今の施設に行く必要ないね』まで言ってます(笑)

 先生が放デイ作るなら、うちの子を1番目の生徒にしてあげて下さい!

 私も応援してます!!!

 あと、うちの子とずっと繋がっていてあげて下さい。。。お願いします^ ^」


 その子も,


「がんばって!!

 先生が、施設を作ったら行きたい。

 先生がだいすきだよ」


 この瞬間,俺にははっきりと分かった。いや,自覚が芽生えた。覚悟が決まった。


「もう俺だけの夢じゃないんだ。子供たちの願いでもあるんだ。無理してでも,人生賭けてでも,必ず叶えなきゃいけない。そうしたい。そうしてあげたい!」


 だから,俺は必死でお金を貯めている。なのに……。


「いつになったら……」


 放課後等デイサービスをつくるという約束も叶えられず,時間ばかりが過ぎていき,本当にもう嫌になり,うつ病寸前になっていました。心療内科クリニックの先生からも、もう少しで抗うつ剤を処方しますよと言われた。


「このままじゃいけない」


 それだけは分かる。その想いだけはある。


「とりあえず息抜きだな。あの場所に行こう」


 近くの山頂には神社がある。そこからの景色が好きだ。町を一望できる。


 神社は続く長い階段を上がっていく途中、空には輝かしい虹があった。俺は虹へ手を伸ばそうとしたとき、足を踏み外した。

お読みいただきありがとうございました。


お読みくださる方がいるだけでも、私の励みとなります。

本当に、嬉しいんです。


今後とも、何とぞ、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ