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カトリーナ様達とランチを楽しんでいる間も、アーサーがまだ帰って来ない事が、気になって仕方ない。
学園に普通にローラは来ていた。先日の王宮夜会での『特別招待』が学園中の噂になっていた。
カトリーナ様は夜会での事やアルバート様の考えも知らされていないようで困惑が隠せないようだった。
私もカトリーナ様も様子がおかしい事にソフィア様が
「お二人ともどうされたのですか?心ここにあらずですわね。」
その言葉に2人で顔を見合わせて、ここで何も話せないもどかしさで、言葉が見当たらず、2人で笑いだした。
私達は何も言えないし、聞けない。
『後でお話ししましょうか。』
と、カトリーナ様がこっそり声をかけてくれたので、
『はい。良かったら帰りに、私の邸に来ますか?』
私も小声で答えた。
カトリーナ様は優しく微笑んで、
『久しぶりですわね。』
と喜んでくれた。
ソフィア様が
「お2人でコソコソとお話しされて羨ましいですわ。仲間に入れてくださいませ。」
と他のご令嬢の方と一緒に私達にぎゅうっと抱きついて来た。
何かこういうのが、楽しい!
つらいときや悲しいときに励ましてくれる友達がいる事が。
午後からの授業に間に合うように教室に戻ると、ローラはごきげんで席に座っていた。
エドガー殿下の横に私は、いつもどおりに座った。
「殿下・・・・言いたくなければいいのですが、アーサーが来ていなくても、ローラ様はテラスに行かれたのですか?」
殿下は私の頭にポンと手を乗せて、
「そうだよ。」
少し切なそうに答えた。
え?
エドガー殿下は何故、切なそうなの?まさかローラに惚れたとか?今さらゲームのとおりにならないよね?
私が不安そうにエドガー殿下を見つめると、
「オリヴィアは兄上に会えないし、アーサーも帰らないし、不安だよね?」
殿下は私の心配をしてくれたんだ・・・・・
私は殿下の優しさにかなり救われているんですよ。
って言ってあげたいけど、今はダメな気がする。
「今日の放課後にカトリーナ様を我が邸に招待しましたが、カトリーナ様に夜会での話しは、してもいいのでしょうか?」
あまり外部に話せない部分もあるけど、カトリーナ様は婚約者候補で当事者だから、でもいちおう確認しないと行けないと思った。
エドガー殿下は少し考えて、
「デュークの話しだけはしないでね!理事長の話しは、しても大丈夫だよ。その変わりカトリーナ嬢以外はだめだよ。」
私はうんと答えた。
「必要とあればアルバート様が話されるとおっしゃっていたので、私から話すのは、違うかな?とかも思ったんですが、カトリーナ様も不安が隠せないようでした。」
「そうか・・・・兄上はカトリーナ嬢に何も話してないんだね。」
エドガー殿下は少し考えて、
「ルーカス!」
え?ルーカス様復帰してるの?研究は終わったの?
ものすごく優秀だわ。
またどこにいたのか、ルーカス様が現れた。
「兄上に今の話しをして来て、指示をもらって来て。」
ルーカス様はすぐに教室を出て行った。
「殿下!殿下!ルーカス様はもう大丈夫なのですか?」
「みたいだよ。僕もルーカスがあんなに頑丈な体とは思わなかったよ。」
エドガー殿下がクスクスと笑ったので、私もつられて笑ってしまった。
殿下は私の笑った顔見て
「いつもオリヴィアが、その笑顔で過ごせる毎日に早く戻そうね。」
殿下の言葉1つ1つが私の心に響く。
午後の授業が終えてすぐにルーカス様が戻って来た。
「アルバート殿下からの伝言ですが、まずはカトリーナ様と2人で話しがしたいとの事で、今日はオリヴィア様との約束は明日以降にして欲しいと仰っていました。」
そうだよね。アルバート様本人から話したいよね。
アルバート様がカトリーナ様も大事にしてくれているのが嬉しかった。
私はカトリーナ様が好きだから、カトリーナ様に傷ついて欲しくない。でも私が婚約者に選ばれたらカトリーナ様はどう思うんだろう。
そして、カトリーナ様が婚約者に選ばれたら私は・・・・・・・・・どう思うんだろう。
アルバート様の卒業までもう10ヶ月もない・・・・・
もうすぐ私の人生が決まる。




