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「オリヴィア!」
エドガー殿下が心配そうに私のところに来た。
「ごめんね!僕がちゃんと部屋まで送ればこんな事には・・・・」
「エドガー殿下まで・・・私はケガしてません!みんな私に甘すぎな気がします!」
エドガー殿下は子犬みたいにシュンってしている。
「それよりアレクセイ様やルーカス様に会えますか?」
「アレクセイは今眠っているけど、ルーカスには会えるよ!」
ブラッドの顔が青くなる!
「僕が剣で刺したから・・・・・・」
エドガー殿下は慌てて、ブラッドの両肩に手を置き、
「ブラッドのおかげで助かったんだ!毒を抜かなければ、アレクセイは僕達がつく前に、命を落としていたかもしれないんだ!」
ブラッドはエドガー殿下の目を見て瞬きもせず固まっている。その緑色の綺麗な瞳から涙が止まらない。
「ブラッドはアレクセイの命の恩人なんだ!わかる?」
ブラッドは何も言葉が出ず、うんと頷く。
あの時、ブラッドはアレクセイ様に腕を刺せと言われてたのね。理事長が簡単に毒が抜けたって言っていたから、応急処置として、大量に血を流す必要があったのかもしれない。でも私もあの時のアレクセイ様は死にそうで怖かった!だからこそブラッドはもっと怖かったと思う!もし私に毒が入った注射針が刺さってしまったらブラッドは私を剣で刺せたのかな?
きっと私を刺せない!でも死なせたくないという葛藤でブラッドが壊れてしまったかもしれない。そう思うと、私とブラッドはアレクセイ様に守られたんだ!
そしてルーカス様にも。
私達が感謝しなければいけない。
私はブラッドの手を握って
「私達もお二人に助けられたのだからお礼を言いに行きましょう!」
ブラッドはうんうんと頷く。
もうブラッドは泣きすぎて言葉が全く出て来ない。
エドガー殿下はルーカス様がいるベッドへと案内してくれた!
「ルーカスいいか?」
「はい!」
ルーカス様はエドガー殿下が訪ねて来たので姿勢を正している。
「2人がルーカスに会いに来てくれた。」
ルーカス様は私達を見て、すぐさまベッドに入ったまま上半身で体を曲げ深々と頭を下げた。
「申し訳ありません!私がすぐに戻れずに、辛い思いをさせてしまいました!」
「僕は、すぐにルーカス様を助けに行かなかったのです!僕が・・・・・・」
「ブラッド様は確かに助けに来て下さいました!そして、オリヴィア様を守るという役目を遂行させて頂きましたのも全て、ブラッド様のおかげです!・・・・まさか理事長を追いかけられるとは思いませんでしたが!」
あれ?今、わたしの事を言ってる?
そうだよね。私かなり迷惑かけたよね?
「あ!ルーカス様伝言してしまいましたか?」
「はい!伝言はしておりますので、そろそろ到着されるかもしれません!!申し訳ありません!今から私が・・・・・・・・・・・。」
いやいや今は安静にしてーーー!
「ブラッド行ける?」
「僕が・・・・受け取って来る!」
と言っても、もう夜会どころではないのだから、ドレスが届いても意味がない。
「オリヴィア!今日は帰ってゆっくり休んでいいよ!」
「でもアレクセイ様が起きるまでは・・・・・・それにアーサーが戻って来ないので心配です。」
「アレクセイは朝まで起きないよ?明日また王宮に来ていいよ!アーサーの事はわからないけど、任務だからもしかしたら今日は帰らないかも。」
そうか・・・・・・・・・ここにいても私は何もできない。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「じゃあ今日帰ります・・・・・ブラッド!その馬車で帰りましょう!このまま待っててもらって!私もすぐに行くから。」
ブラッドはゆっくりとエドガー殿下とルーカス様に頭を下げて、馬車へ向かった。




