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大魔導士エマの世界大革命  作者: AARO
第9章 リドルボルグ魔法学園
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第88話 見慣れた顔

『つまんないわね』

 しっかりと机に向き万年筆を動かすトマの頭に響いてきたのは、エマのいかにも面倒そうな声だった。。二人は魔法学の記述測定をしていた。

『それにしても、私たちの時代とは魔法の知識自体が違っているわね』

 二人は答案用紙に向き合いながらスルーコミュニケー(思念通信)ションを使う。

『そうだね。まあ回答は、教員の教室の右から二番目の机の三段目に厳重な鍵がかかって入ってたから全部分かってるけど、ここまで違うと意図的に誰かが決めた事のような気がしてきたな。エマ、全部正解書かないで適当に間違えてよ。というか、これから潜伏するには点数は良くないほうがいいかもしれない』

『すーん』

『なにそれ、頼むよエマ。 わかってる?』

『大丈夫だって、そんぐらいわかるから。あんた、何重にもなった鍵を簡単にこじ開けるんじゃないわよ』

『透視しただけだよ』

『あら、そう。それよりサー、あの、担当教員のディズアナシスって人だけど』

 トマは前方にある教壇に目を向ける。

『誰かに似てる気がするんだけど、気のせいかしら?』

『そうかな? 確かにそういわれれば見覚えがあるような……』 

『だよね。たぶん私たちが会ったことある人だよ絶対。うーん、誰だろ?』

 エマは試験集中せずに関係ないことばかり考えていた。


 そんな時リリーは採決の最中だった。

「はい、採血終わりました。では、分析の機械にかけますね」

 担当の教員はそう言ってリリーの血液が入った試験管を後ろにある機会に入れた。眼鏡でおとなしそうなその教員は胸にイコマ・カリスと書かれている。


 その機械はその部屋の半分を埋め尽くしており、様々なよく磨かれた鉄製のパイプがめぐらされ、色々な大きさの圧力計金が無造作に取り付けられていた。金色と銀色の部品でそのすべては作られていた。

リリーの後ろにはまだ大勢の新入生たちが列をなしている。順番に採決し、その都度この装置に入れて計測するのだ。

 しばらくすると、一番大きな圧力計が反応し、機械のいたるところから白い蒸気が噴き出だした。そして、分析結果が一枚の用紙となり、機械から放出される。


「はい、完了いたしまし……」

 その用紙をとり、目を通したイコマはなぜか口ごもる。

「測定番号四十六番のリリー・ウォルシュさん。えーっと、大変申し上げにくいのですが、数値が極めて低いですね。今まででもここまでの数値は聞いたことがないです。この数値だと魔法学園での活動も極めて制限されたものとなりますが、よろしいでしょうか?」

 その教員は少しうつむいて申し訳なさそうにそう言った。


「うわっ、こいつ、数値が3だって! やべえ!」

「こら、かってに見てはだめです!」

 教員が慌てて用紙をひっこめる。

 リリーの後ろで順番を待っていた者が身を乗り出し、リリーの結果を盗み見たのだ。

「お前こんな数値でなんで魔法学園に来ようと思ったんだよ。場違いだよ! 帰れば?  あははっ!」

 その男の子は指をさしてリリーのことを嘲笑した。つられて周りの生徒もざわざわと騒ぎ出す。その時、騒然としていると後ろのほうから声が聞こえた。

「なんだよ! 早くいけよ!」

 怒鳴りながらずかずかと人込みを分け入るその人物は、金色の頭髪に吊り上がった目が特徴的なリリーと因縁のある人物、ネラだった。朝に校門で会ったばかりだったからリリーはまたかとドキッとした。

「またお前かよ、リリーお嬢様」

 ネラはリリーを蔑むような目つきで、呆れたような声でそう言った。

「ネラ・ローガン様!」

 さっきまでリリーを嘲笑していた男の子は、急に姿勢を正しネラに頭を下げた。

「何をしていた?」

 ネラが聞くと、その男の子は答える。

「いえ、こいつの数値があまりにも低かったもので。ネラ様、おまたせしてすみません」

「そうか、まあいい。それでリリーお嬢様の数値は、いくつだったんだ。そこの教員! 答えろ!」

「は、はい! す、すみません。で、ですが、魔力量の数値は個人情報なもので……」

 教員が口ごもると、

「お前、俺が誰だか知らないのか! 殺されたいのか!」

「ひいい! すみません、もちろん存じ上げております。ルンガの3柱であるローガン家の、ましてやその次期当主であるネラ様のことを存じ上げないわけはございません! お許しください! す、数値は3です!」

 教員は今にも泣きだしそうにそう叫んだ。

「さ、さ、さ、んぅぅ! さすがはお嬢様! いや、そんなゴミみたいな数値、三歳児でもだせねーよ! ぎゃはははは!」

 リリーは困惑し、うつむいている。リリーの頭の上ではソフィアの怒りの感情が伝わってきた。


「どけ!」

 ネラはリリーを突き飛ばす。

「よく見とけ、これが純粋な由緒正しいルンガの力だ!」

 そういって手を突き出す。

「そこの教員、俺の血を装置に入れろ!」

 教員はいそいそと採決し、ネラの血が装置に入れられる。しばらくすると装置から一枚の用紙が出てきた。

「読み上げろ!」

 ネラがそういうと、教員は言われた通り声を上げその数値を読み上げた。

「す、すごい! 115です!」

 その数値が読みあがると、あたりから歓声が上がった。

「おい、聞いたかよ。115だって!」

「帝国標準魔導士のレベルじゃない!」

 口々にその数値の高さに驚いている。 

「みたか! 欠陥血統が! 妾の子ですら汚らわしいのに、お前はどこの馬の骨かもわからない血筋だからな。お前の母親も父親もさぞ穢れてしくだらない、くせえゴミだったんだろう!」

 その時、リリーの頭の上でソフィアの感情が爆発しそうだった。

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