表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大魔導士エマの世界大革命  作者: AARO
第八章 新たな幕開け
78/93

第78話 ストレンジコインシデンス

「トマよ。これはいったいどういった事か……」

 シン王が、額にしわを寄せて難しい顔をする。

「えーと、どういう風に話せばいいものか……」

 トマもひどく困った顔だ。

「よいではないの、シンちゃん。どうせ誰も来ないんだ。私もたまにはこっちの世界を見てみたいし」

 シン王は肩を落とす。

「お前は仮にも流転炎を守る命を受けた者。それを放棄するなど、どれほどこの世界に影響をおよぼすのか計り知れない!」

 シン王は腕組みして怒っている。

「いいじゃないの。トマ殿が来たのは実に二万年振りだよ。昔はしょっちゅう来てたのに、もうこの時代は人なんか来やしないよ。本当に暇なんだから。あの空間に一人で。お主には私の苦労は分かるまいなあ。ああやだやだ」

「しかしだなぁ――」

「ちょっと、ちょっとだけだって、何かあったらすぐ戻るからさ。それにほら、私、トマ殿と結婚するんだ」

 トマは、片手で顔を覆い項垂れる。


「け、結婚って、なぜそんな話に! お前分かっているのか?」

 シン王がそう言った瞬間、部屋の外から大きな声が響く。

「け、結婚! だ、だだだ駄目だ! トマはやらない!」

 そう言って、勢いよくドアを開けて、ルーシェアンは入ってくる。


 ルーシェアンは、眉間にしわを寄せて大きな目でアステラムを睨む。

 不思議な空気が二人の間に流れるが、誰一人として何が起こっているのか正確に理解出来ずにいた。混乱と困惑が一人一人の頭上で入り乱れる。


 沈黙を破ったのはトマだった。

「えーと、皆さん、とりあえずどこか座って落ち着いて話をしましょう」

「そ、そうね。ほらあなた、私は飲み物の準備をするから、皆さんをご案内してください」

 トマの言葉に、一歩下がり見守っていたミュシィも賛同する。

「おお、そ、そうだな。では、こっちだ。ルーよ、母さんの手伝いをしてくれ。アステラムとトマはわしについて来てくれ」



「うん、おいしいですね。この……紅茶ですか?」

 ほわほわと湯気の出るカップに口をつけてトマが喋る。

「そうよ。この地に生えるピッケっていう植物で作るのよ」

 ミュシィは、小麦色のお菓子を差し出しながらそう答えた。


 ルーシェアンはぎゅっと両手のこぶしを握り、アステラムをじっと見ている。


 腕組みしているシン王があきれた様子で口を開く。

「はあ……それで、アステラムよ。お前は何故結婚などと、そんなことを言い出したのだ?」

 すると、突然ルーシェアンが立ち上がり、ニコニコしているアステラムに言う。

「そ、そうだぞ。そもそも、トマには大切な人がいるんだ!」


「……大切な人?」

 ルーシェアンの言葉を不思議に思いトマが聞くと、

「そ、そうだ。お前言ってたじゃないか。大切な人の為に流転炎を授かりたいって!」

 ルーシェアンは、トマの方を凄い勢いで向き直りそう言った。

「ああ、それは意味が違いますよ。大切な人ではありますが、そうですね、つまり愛する人ではありません。僕の姉の弟子の為なんですよ」

 トマは笑顔でそう言う。

「えっ! そ、そうなのか? じゃあ、トマの愛する人は?」

「えっと、愛する人ですか……? それは、添い遂げるパートナーという意味ですよね? だとすれば、いません」

「そ、そうなのか! じゃあ、アステか?」

 ルーシェアンはどんどんとトマに詰め寄る。

「えーと、いえいえ、アステラムさんは……僕にもどう説明していいのかわかりませんが、僕は承諾していませんし、一度お断りしたのですが」

 シン王は、首を振る。

「アステラムよ。お前の事だ、どうせトマが強いから言い寄っているのだろう。前にも、一度あったな」

「うるさいねえ。そんな昔の事は忘れたよ! あの時の思いはもう嫌なんだ。何も告げられないのは」

「しかしだな、アステラム。お前の気持ちはわかるが、相手にその気がないのなら仕方ないじゃないか?」

 アステラムは俯く。すると、ミュシィが口を開く。

「あなた……少しは言い方があるでしょう。しかも、気持ちなんて変わることもある。お互いを知れば好きになることだってある。そうやって、結論を急ぐのはあなたの悪い癖ね」

「しかしだな……」

「アーちゃんもずっと守っていたんだし、たまには外へ出てもいいと思うわ。時間とは短いけど同時に無限でもある。選択が運命を導くの。そうでしょ?」

「し、しかしだなぁ」

 煮え切らないシン王にミュシィが叱咤する。

「あー、もう、面倒だわね! あなたそれでも山神の王ですか! ドンとかまえなさいよ! ほらしゃきっとする!」

「お、おお!」

 シン王はビクッとなる。


(ああ、全然違うと思ったけど、ルーシェアンがエマに似てるって感じたのはお母さんに似たんだな)

 はっきりしないシン王に対し、堂々と発言するミュシィのその様はエマと重なって見えた。トマは思わず笑顔になるのだった。

 かくして、アステラムは少しの間だけこの世界を見て回る事となった。それが決まってからのアストラムは終始ニコニコとしていた。しかし、ルーシェアンはずっとムスッとしているのだった。


「では、アステラムよ。トマに迷惑をかけるんじゃないぞ」

「わかってる! 大人しくするさ、安心してくれ」

 アステラムは笑顔でそう言った。

「トマよ。すまないな、君に大変な事を押し付けてしまって」

 シン王が頭を下げる。

「いえ、僕はこういった事には慣れていますから、別に大丈夫ですよ。それに、仲間は多い方が楽しいものです」

 屈託のない笑顔でトマがそう言う。


 するとミュシェは、自分の背中に隠れているルーシェアンに向かって、

「ほら、言いたいことがあったらはっきり言いなさい」

 そう言って、ルーシェアンの肩を持ち、トマの前に突き出す。


「わ、わた、わた……」

 ルーシェアンは、顔を真っ赤にしている。

「私も、連れてってぇ!」

 目を瞑り、こぶしを握って思いっきりそう言い放った。トマは微笑んでルーシェアンを見つめる。

「良いですよ。行きましょう。でも、ミュシェさん、シン王、いいんですか?」

「この子には、もっと、勉強が必要です。あまりに世界を知らなすぎる。トマよ、あなたが教えてやってくれませんか?」

 トマは少し考えてから、

「僕に出来るか分かりませんが、任せて下さると言うのなら全力を尽くしましょう。少なくとも僕の命にかけても娘さんは守ります」

 その言葉を聞いたルーシェアンは頬を赤くする。

 こうして、トマとアステラムとルーシェアンは一緒に行くことになったのだった。


「それでは、すまないが、二人をよろしく頼む」

 シン王がそう告げると、

「はい、分かりました。今度来るときは姉達も連れてきますね」

「うん、それは楽しみね。ご馳走を作るわ」

 お互いに手を振ってお別れするのであった。

登場人物だけでも少しまとめようと思います。できれば次に差し込めればとか考えています。いつもご覧いただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ