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大魔導士エマの世界大革命  作者: AARO
第七章 謎から秘密へ
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第54話 マスターマインド

「それは何の冗談なの?」

 その冷たい声は、石造りの床を這いだだっ広い部屋に響き渡る。それは、一瞬でも触ってしまうと凍り付いてしまいそうなほど冷たい声で、身震いする程だった。

「いえ、それで全てでございます」

 冷たい床に跪いてそう話すのは、ボロボロの衣服を着た三人だった。露出している肌はかなり大きな怪我をして三人とも血だらけである。


「はははっ! はーひゃはやひゃ! クマのぬいぐるみにやられたですって! おひゃははひゃは!」

 気が狂ったように笑うのは、メディス・ノバチェク。リトマス連合国の王妃である。

 その笑い声につられ、跪いている三人も少しずつ笑いだす。

 しかし、

「必要ない」

 メディスは急に笑うのを止めたかと思うと、恐ろしい形相でそう一言冷たく言い放つ。すると、三人のうち右側の人物が崩れ落ちる。

「エ、エイト……」

 ナンバーセブンは、背後で倒れるような音を聞きそう呟いた。

 そう、この三人は、レオナルドベアに倒されたと思われていたアルファベットの三人だった。

 レオナルドベアの放った魔法から辛うじて脱出した三人は、命からがらリトマス王国まで帰って来ていた。


 そして、今エイトはメディスに一瞬でその命を奪われた。残りの二人は、跪いたまま固唾を吞む。


「そんな世迷言を信用しろと言うのですか? 喋るぬいぐるみなど居る訳がない、それどころかそのぬいぐるみが膨大な魔力を使いこなすなど、あなたたち気でも触れてしまったのですか?」


「し、しかし――」

「だまれ」

 遮るように、放たれたメディスの一言で、左側の人物が崩れ落ちる。ナインが死んだのだ。

 確実に次は自分だと、セブンは確信した。そして、いっその事どうにかして、この場を逃げることを考え始める。

(転移魔法陣を展開するしかない。チャンスは一瞬だ)

 セブンは何かあった時の為に転移魔法陣を用意していたのだ。


「だいたい、あなたなどの雑魚の言い分を私が信じるとでも思っているのですか? よくも私の前で誰もが嘘だと分かる言い訳をしてくれ――」

 メディスが立ち上がり、講釈を垂れながら背中を見せた。

(よし、転移魔法陣を展開する。場所は森の中でいいな。あそこなら距離も十分あるし、森に紛れ姿を隠すのだ。かなり膨大な魔力を使ってしまうが、私一人なら大丈夫だろう。転移魔法陣展開!)

 セブンが囁くように唱えると、跪く床に魔法陣が現れ、セブンの体は一瞬にして消え去ってしまった。


 セブンが顔を上げ見渡すとそこは、郊外の森の中だった。

「はあ、はあ。成功だ、成功した。しかし、こうしてはおれん。すぐ逃げないと」

 しかし、セブンの思うようにはいかなかった。

「ぐっ! な、何?」

 動かそうとした足が一切動かない。

「な、なんだこれは!」

 視線を落としたセブンは、その光景に歯を食いしばり、額から汗が流れるのを感じた。

 両脚は完全に石化し、どんなに力を込めようとも一切動かすことが出来ない。

「なぜ、なぜだ。そんな時間はなかったはず!」

 すると、頭の中に響く針のような鋭い声。

「ひゃひゃはや。私から逃げれるわけないでしょう。やはり救いようのない低機能の動物ですわね。そのまま冷たい石になりなさい。ひゃはやひゃ……」

 セブンの体はどんどんと石になり、数秒で完全に石化した。もう動くことはない。

 森では鳥の声が聞こえる。木々が揺れ、風と水が流れていく。セブンはその自然の一部となった。


「さて、とても信じる事は出来ないが、ミアの城で何かが起こった事は確かねぇ。警戒を強めようかしらぁ」

 メディスはそう言うと、まるで作り物の顔のように顔を歪めて、口と目を吊り上げてほくそ笑むのだった。



「あちゃー、こりゃ凄いわね」

 エマ、トマ、アレクサンドラの三人は、ミアの城の上空にいた。

「絶対、エマのせいだよ。君の眷属の仕業だろ、多分。力の使い方をちゃんと教えないから」

 頭に手を当てて、申し訳なさそうに苦笑いするエマに、トマはふくれっ面で怒る。

「ちっちゃい私残したんだけどなあ。それにしても、アレクサンドラ。降りてよ。重いじゃない」

 アレクサンドラはエマに抱きかかえられている。

「い、いや、ここで降ろされても。私飛べないですし……」

 下を見ながらビクビクするアレクサンドラ。

「何言ってんのよ。飛ぶのなんて簡単じゃない! 重力と風を操るだけでしょ!」

「無理言わないで下さい。私まだ、エマ様に何も習ってないのですよ」

「手がかかる弟子ね。奇跡を起こしなさいよ」

「弟子って多分そんなもんだし、奇跡を願う師匠なんていないと思う」

 アレクサンドラとエマのやり取りを横目で見ながら、トマはそう言った。


 トマは、目線を下に落としてながら喋る。

「まあ、この状況だと皆避難して居ないみたいだね」

「そうね。気配はないわ。アリ! どこに行ったかわかる?」

「えっ! 今の私の事ですか? きゅ、急に愛称で言われてもぉ。エマ様……」

 何故か頬を赤くして、体をクネクネさせるアレクサンドラ。

「なんか、妙な態度ね」

 顔を背けるアレクサンドラを引き気味に見るエマ。


「う、うん、ごほん。そ、そうですね。ダンダの酒場ではないでしょうか?」

 視線に居たたまれなくなったアレクサンドラがそう答えるとトマが話す。

「ああ、アレクサンドラに紹介された酒場だね。そうだね、その可能性は高い。じゃあ行ってみよっか」


「それにしても、アリ。なんなのよその態度は?」

「ま、またそんな……ふふ、ふふふふ……」

 そんな事を言いながら、三人はスイーと空を飛んでいく。

 エマは、なぜだか強く抱きついてくるアレクサンドラをけん制しながら飛びにくそうにしていた。


ご覧いただいている方大変ありがとうございます。

現在行進が少し途切れておりますが、少しやり方を変更します。

こちらの更新は少しペースを落とし、別の作品を書こうと考えております。

評価下さった方大変ありがとうございました。ゆっくりではありますが、続きを書こうとは思っておりますのでたまに覗いていただければ幸いです。

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