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大魔導士エマの世界大革命  作者: AARO
第七章 謎から秘密へ
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第51話 ロックシークレット

 割り込み投稿を今さらながら気づき、実行しました。

 お騒がせしました。

 空は青いものだ。

 光は白く、それは、虹の七色が交じり合った色。青はどの色よりも錯乱し、それが視覚に入り込む。

 しかし、ここの空は真っ白だった。

 それは、真っ白な紙で覆ったような、作りものの様な白さ。

 辺り一面山などもなく、ただ草原の地平線が続いている。それは果てしなく続いていて、その先を見つめるだけで、意識が遠のいて行きそうだ。


 トマはその広い草原に座り、足を延ばした状態で背後に両手を突いている。

 そこには、風は吹いていた。風は軽快に青々とした草原を駆け抜けていく。

 吹き抜ける風が心地よく、眼を瞑り天を仰ぐ。

 綺麗な金色の細い頭髪が、風の流れを表すようになびいている。その横顔は、エマとそっくりで、肌は透き通るように白く、整った目鼻立ちに長いまつ毛、とても美味しそうな唇がついている。

 トマ・ブリスティアン。エマとは双子であるが、どちらが先だったかは分からない。

 世にいる双子に比較してもこれほどに似ている双子はいないだろう。性格以外は。


「おーい、おい。トマ、トー! 戻ってこーい!」

 後ろから聞こえる声に、トマは振り返る。

「あー、ダヴィンチ! わかったー。後で行くから先に行ってていいよ! しかし、トーって何?」

「だめだめー! お前、来ないだろー! ほっといたら一日中そこにいるんだから。ほら、早く来―い」

「はいはい、分かった、分かった」

 トマは、立ち上がりながらそう言うと、声の方へ歩いていく。


「もう、せっかちだな、ダヴィンチ」

 トマが、ダヴィンチと呼んだ先には、一頭の鹿がいた。

 その鹿の毛並みは、滑るように艶やかで、光を反射し黄金色に輝いている。

 頭に角はなく、つるんとしてつぶらな瞳も相まってかわいらしい印象だった。

「いや、私はせっかちじゃない。お前が、のんびりだ」

 ダヴィンチは呆れた様子で、身をひるがえし歩き出す。

「まあまあ」

 トマはにこやかに、ダヴィンチの背中を撫でながら歩き出す。

「なんだ、ゴマをすっても何も出んぞ」

 背中を撫でられて気持ちよさそうだが、必死に抵抗する。


「それで、何か用事だったの?」

 トマが聞くと、

「ああ。そうそう。エマが来てるぞ。変な兄ちゃんと」

「えっ、エマが来たの? どうしたんだろう」

「まあ、とりあえず帰ってから聞いてみろよ」

 そんな話をしながら、トマとダヴィンチは同じ方向へ歩いて行くのだった。


「あー、やっと帰ってきたわ。おーい!」

 遠くに見えるエマがトマ達に気づき手を振る。トマは特に急ぐでもないが、笑いながら手を振った。

「ほんと、あんた、また、幻の丘にでも行ってたんでしょう? あそこ行くと全然帰って来ないから」

 エマが、眉を顰めて腕を組みそう言うと、

「はは、あそこはいいんだよ。頭が空っぽになるから。それより、何かあった?」

「ああ。そうなのよ、アレクサンドラの準備が整ったから連れて来たのよ。それと、この人はジェイ。アルファベットの基地から出られなくなってたんで、連れてきた」

「君は誰でも連れてくるね。しかしあなたは……興味深い」

 トマは、ジェイを見て一言そう言った。

「初めまして。僕はエマの兄弟で、トマと言います。よろしく」

 トマが手を差し出すと、ジェイも手を出し握手をする。

「初めまして。僕はジェイです。エマさんに呼ばれたんで同行させてもらったんだ。よろしく」

 

「しかし、おぬしらの周りには、わしでもよく分からん者たちが多いな。類は友を呼ぶというか、なんというか」

 そう言ったのはアーブだった。

いつの間にか、ダヴィンチの隣にはアーブの姿があった。

今日は、紫のスーツに白いタンクトップ、銀色の首飾りをしている。


「アーブ様。これはこれは。確かに、得体が知れぬ者ばかりです」

 ダヴィンチも頷く。

「して、エマよ。アレクサンドラは今どこにおるのじゃ?」

「えーと、ポケットに入ってるわ。アークじじの所に一度連れて行こうと思って」

「おお、アーク様の所に行くんじゃな。そうじゃな。お前が弟子をとるのは、はて、いつぶりかの? まあしかし、正式に弟子にしたのなら、一度お目にかけた方がいいじゃろう」

「うん。じゃあ、行ってくるわじいちゃん。それにいつぶりかなんて覚えてないわ」

「僕は、ここでゆっくりしてるよ。ダヴィンチと遊んでる」

 ジェイはダヴィンチの毛並みが気に入ったのか仕切りに撫でている。

「やめろ、やめろ。私は高貴な生き物なのだ」

 ダヴィンチは嫌がっている素振りを見せるが、明らかに気持ちよさそうだ。

 エマは、にこやかに笑って手を振りながら歩いていくのだった。


「……アーブ様。それは、言わない方が」

 エマを見送りながら、ダヴィンチが言う。

「ふぉっふぉ。そうじゃった、そうじゃった。しかし、エマもそろそろ片を付ける必要があるじゃろう。本人も十分それは分かっておるのじゃ。だからこそ、今にして弟子をとったのじゃろう」

 アーブは、その長い年月を感じる、芸術のような曲線が幾重にも重なるしわの奥にあるルビー色の瞳で遠くを見る。

「……そうなんですかね。アーブ様結構適当だからな」

 ダヴィンチ片耳をぴくっと動かしながら、片眼を瞑り、アーブを横目で見る。

 それは完全に疑いの目だった。

 かっこよく決めるつもりだったアーブだが、次第になんとも言えない気まずい顔になる。

「……なんじゃ、信用ないのう。わし、これでも結構偉いんじゃが」

「アーブ様が偉いのは十分承知ですが、エマとトマの事になると感情が先走りますから」

「ふぉっふぉっふぉ」

 アーブは誤魔化す様に笑うのだった。



 エマとトマは、だだっ広い草原を歩いている。

「それで、アレクサンドラは上手くいった?」

 トマが聞くと、

「そりゃあもうバッチグーよ」

 エマはお尻を突き出し、親指を立ててしてウインクをした。

「バッチグーって誰もわかんないよ。後、ポーズのセンスもどうかと思うよ。一様女子なんだし」

「ふぉっふぉっふぉ」

 なぜか、アーブのように笑うエマ。

「ちょっと、待ちなさいよ!」

 しかし、トマは無視して歩くのだった。

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