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第三章 初めてのキスは土の味

「んで、走り疲れたところを兵士に捕まってここに連れてこられたってわけ。」


一通り話し終えフゥーと息を吐きアリステアを見やると。


「・・・うぅぅ」


嗚咽のようなものを口からもらしながら肩を震わせ俯いていた。

突然のことに心配になって顔を覗きこむ。


「お、おい!どうした!?気分でも悪いのか?」


ゴッ!!

直人の心配をよそに鈍い音が響きわたる。


「おっもしろーい!!!それでそれで!? ってあれ? どうしたの?」


アリステアの勢い良くあげた頭がモロに顔に入った直人は声にならない悲鳴をあげた。


「つっっっーー!!!」

「だ、大丈夫!?」


慌てて近寄るアリスに非難がましい視線を向けようとするが、テントの外で待機していた兵士が音に気づき取り押さえられてしまう。しかもうつ伏せに押さえられたので手の使えない直人は地面とファーストキスをかわすはめになってしまった。


「おう《・・》っ・・いえアリステア小隊長お怪我は!?」


何やら歯切れの悪い物言いだ。


「平気だけど何かあったの?」


疑問系で返され初めて自分の早とちりだと気づいた兵士は、しどろもどろになりながら答えた。


「え、いや・・その・・・急に大きな声が聞こえたもので小隊長に何かあったらと思いまして。」

「大丈夫だから戻って平気よ。」

「は、はい。」


アリスが笑顔で返すと、兵士は乙女のように顔を真っ赤に染めながら返事だけして固まる。これがホントの乙女ならまだいいのだが、男となれば顔を背けたくもなってくる。


「おーい聞こえてるか~一般兵士君?戻って平気だってよ。いつまでもにやけてないで、いい加減

俺の上から降りてくれないか?」

「な、貴様捕虜として命があるだけでもあり━━

「後は私がきつく言っておくから。」


アリステアに諭された途端素直に了承しテントから出て行く。しかし直人に一瞥をくれるのを忘れないところはお約束。


「さっきの奴お前にベタ惚れじゃねーかっておい。何笑ってんだよ。」

「だってあんなバカけた発言するなんて思わなくって・・っくふふふっ。」


必死に声を殺しているが笑いすぎて目に涙が溜まっている。


「ふふっごめんごめんでその後はどうなったの?」

「その後はなんか眼鏡かけたいかに知将です。見たいなオッサンの所に連れて行かれて、尋問されたのち今にいたるってとこかな。よしとりあえず縄外してくれ。」

「だめよ。だってここで外すなんてもともと約束してないし。」


ニコッと笑いながら言ってくる。


「はぁ?約束破るきかよ。」

「ウソよウッソ。ちゃんと外したあげるから、まだがまんしてて。それに私が約束破ったことある?」


初対面の人間にその言い方は間違いな気がするがややこしくなるのでそこはがまんした。


「今まさにやろうとしてるだろ。」

「へぇ~じゃあ約束破ろっか?」

「うっ・・・」


得意げ顔なアリステアに完全に言葉に詰まってしまう。

主導権はアリステアにある以上逆らえない直人は言うのを諦めむくれると、それを見たアリステアが軽く微笑む。

その顔に不覚にもドキッとしてしまった自分は、さっきの兵士といっしょだなんて思ってしまうのが悲しい。

なんだか自分が負けた気がするからやり返した。(本人にその気はなかったんだろうけど)


「はぁ〜だけど俺もうお婿にいけねーわ。」

「急にへんなこと言ってどうしたの?」

「ん〜だってさ、さっきの兵士に押さえつけられたせいでさ」

「うん。」


ここでワザと一呼吸おいてから言い放つ。


「地面にファーストキス取られたんだぜ!」


ついでに唸りながら顔を手で覆いたい・・・のだが手が縛られているので天を仰ぐ程度に終わった。

それでもポカンとしていたアリステアは意味に気づくと、大声で笑い出し涙をポロポロこぼした。

つられて直人もいっしょに笑った。

笑いながらここに飛ばされるまでのことを直人は思い返してみる。

いきなりここに飛ばされた時には正直焦った。

しかしアリステアと話、触れてみて、幾分落ち着くことができるようになった。もちろん感謝しているが口にはしない。なぜなら男はいじっぱりだから。


ちなみに余談だがこの後本日二度目の地面とのセカンドキスを決めることになるのはゆうまでもない。



一話に回想が集まってしまい二話は短くなってしまいました。

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