君に歌
張り詰めた一月の朝のにおいで雪が積もっていることを知る
二月です十四日です昨日からそわそわしてた君のぶんです
三月の体育館で来るべきさよならを繰り返すこどもたち
愛したら愛されるかい? 頑張れば報われるかい? 四月の風よ
きっと僕ら生まれてくる日を間違えて泣いてしまった五月の蝉だ
六月は大義名分? 雨は、たぶん、ただ降りたくて降っているだけ
七月の湖水のようにやわらかなしあわせをたたえる人でした
八月を描くときこの色以外もう使えそうにない夕焼け
「強」なのに「弱」で回る扇風機氏が九月の午に息絶えました
十月の然るべき日の「月が綺麗」はただの普遍的事実です
気が早い君がおこたを出している十一月だ羊が吠える
不要、不要、不要、選り分けた思い出抱えて去っていく十二月