Ⅲ
<四天王の空獲り>
その年、翼族の国には、明るい話題が多かった。
初夏五月には、皇太子に第一子となる皇子が誕生した。その小さな皇子が、白い鷲の翼をしていたことに、国民が皆、熱狂した。戦国末期の鷲族の王、後の初代翼族皇帝が、やはり白い翼であったと言われているからだ。
のみならず、その皇子は生後たった数カ月で、這うよりも先に飛ぶことを覚えた。その事実は瞬く間に巷に広まり、国民の熱狂に拍車をかけた。飛ぶことを何よりも強い誇りとするのが翼族だ。その皇子として生まれてきた赤児に、これ以上に望まれる資質というものがあるだろうか。
また、世継ぎの皇子に先立って、前年の一二月、丁度、翼族の年度始めの頃に、賢者の一族の長、継承君にも第一子が生まれている。
後に翼族皇帝と、その筆頭政治補佐官となる二人に、すでに後継者ができたことになる。しかも、どちらも健康な男児だ。それだけで、翼族の国の人々を沸かせるのには十分だった。
その上、四大公家の後継ぎたちが、今年揃って成人を迎える。
皆、それぞれに優れた若者たちで、一人一人が、後に四大豪族を統べるのに申し分ない能力と威厳を兼ね備えていると評判だった。
こと、鷹族とコンドル族の両王子は、どちらも百年に一度の逸材と囁かれ、今年の空獲りでも勝者予想の筆頭に上げられていた。
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