XV
冬の短い日が落ちる頃、カイは篝火の焚かれる祭りの高舞台に立っていた。空獲りの勝剣を祭司神官ーハルだーに返上したところだ。代わりに冠を受け取る。
冬祭りは、この、空獲りの勝者の戴冠で幕を開ける。
祭り舞台が立つ皇家鷲族闘技場は、人で溢れ返り、熱気に満ちていた。祭り初日の興奮に加え、空獲りの優勝者が、現翼族皇太子であることが、人々の熱狂に拍車をかけている。カイは、手を上げて熱狂に応えた。
そういえば、この年が始まったばかりの頃、自分の生まれてきた立場が、疎ましくてならなかったっけ、とカイは思った。四天王だけでなく、他の誰もが羨ましく思えた。自分を囲む全てが、嫌でたまらなかった。
夏の冒険や、内乱や、勉強漬けの日々や、他の色々な出来事を経験して、今は、嫉妬や羨望や嫌悪や、そんな感情も、生きていくうちには、あって当然だと思っている。だが、そういうものをひっくるめて、自分自身と向き合っていればいい。きっと誰にだって明と暗があり、誰の人生にだって幸と不幸がある。だから、自分のそれに責任を持てばいい。誇りを持てばいい。
神官――ハルから手渡された柊の冠を頭に乗せながら、ふと、そうと思えるようになったことが、自分が成人した、ということで、これもまた、空獲りの意義の一つかもしれないな、とカイは思った。
【終】




