4話 最初の村
今後ともよろしくお願いします!
ズシャッ!
斬魔刀の一閃の元に真っ二つに斬られるオークたち。ソウマはこの体の状態がよく分かってきた。
まず、常人にはあり得ない身体能力がある。自分がどのくらいの魔法が使えるのかはソウマ自身まだ分かっていない。何故なら、この体の状態で魔法使ったらこの森が吹っ飛びそうだからだ。
変に森を吹っ飛ばしてボス級のモンスターが乱入とか嫌だし。。。
そしてオークやゴブリンなど邪魔して来るモンスターを倒しながら進むことはや3時間。いい加減に村とかあってもいいと思う。
だがやはりどこにも村はない。人すらいない。いつになったらこの森を出れるのだろうか?もう五時間近くは歩いている。
空がだんだん夕焼け色に染まっていく。このままでは野宿だ。このモンスターがはびこる森で出来ることなら野宿などしたくない。
さらに歩いていくととうとう森を出れた。森の外は壮大な自然が広がっていた。日本では見れない光景にソウマは無意識に息を呑んでしまう。
しかし森を出ても村は相変わらずない。仕方なくソウマはまた歩き出す。
ずっと歩きっぱなしで虚ろな目をしながら歩いていたソウマの目に光が戻ったのはまさにその時だった。
目の前には小さな村があったのだ。
ソウマは今までの疲労が嘘のようになくなり一目散にその村めがけて走っていく。
ー小さな村の村長の家ー
「どうしたもんかのお」
小さな村の村長とは思えないほど威厳のある声でその言葉は出てしまった。
今、この村は大きな危機に瀕している。それは「侵略」と言うものだった。毎年この時期ー夏の終わり頃になると必ずしもいくつかの村が「侵略」の餌食になる。
「侵略」と言うのはモンスターやアンデット達が村にめがけて大量に襲来するのだ。今までにその被害にあった村は星の数ほどある。この村が今まで狙われなかったのは幸運に幸運がかさなったからだろう。
しかし幸運がそう何度も続くわけはない。
ある日ある少年が「侵攻」の予兆ともなるダンジョンを見つけたのだ。ダンジョンのモンスターは普段ダンジョンからは出てこない。しかしこの時期になると必ずダンジョンから出て行き近くの村を襲うのだ。
それが何故かは未だに分かっていない。
さらに村長が考え込む理由はまだある。普段「侵攻」の予兆を見つけた時は王都に報告し騎士団が助けに来てくれるのだ。
だが今さっき騎士団が「迷いの森」にて全滅したとの連絡が通信魔道具により入った。
無理もない。王都はこの村の北に位置する。王都が近くにあるのにこの村が小さのにもこの問題が関わっている。そう、それは「迷いの森」である。迷いの森は王都と村の中間に位置している。この森には大変危険なモンスターが多くオークやゴブリンでさえも通常とは、遥かにかけ離れた強さを持つ。
村のなけなしの金で雇った騎士団ごときではすぐに全滅して当然だろう。村長は自分の村の終わりをすでに覚悟していた。だから村人にも「侵攻」が起こるとは教えていない。教えたところで混乱して死がくるのを待つだけであろう。そんな時だった。誰かがドアをノックする音が聞こえたのは。
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ドンドン!
「すいませーん!ここってロロナ村の村長さんのお家ですよねー?旅をしているものなんですけどー今日一晩泊めてもらえませんかー?」
ソウマはありったけの声で叫ぶ。言葉が通じるかどうかは分からなかったが言ってみることは大切である。
しばらく時間が経った頃ドアはギリギリと音を立てながら開いた。
「ようこそ、ロロナ村へ。私村長のニコラス=ロロナと言うものです。気軽にニコラスとでもお呼びください」
村長はうやうやしく頭を下げる。とりあえず言葉が伝わって一安心。などと考えてる暇はなかった。
何しろソウマはこんなことをされたのは初めてだったので慌ててー
「い、いえいえ、俺は旅をしているものでソウマは=カンザキと言うものです。ソウマとでも呼んでください」
「まぁ、そう緊張なさらずに。ここで話すのもなんです。さぁさぁ中に入ってください」
ソウマは言われるがままに村長ニコラスの家に入っていく。
一見家の中身は普通の家に見えたがよくみると机の上には書類などは沢山置いてあった。
家に入ると村長は紅茶を出してもてなしてくれた。村長の態度は厚意的でとても初対面の人に取るような態度ではないとも思えた。
だがこれこそぼっちの考えなのだろう。きっと普通の人は困った人がいたらこれくらいするに違いない。ソウマはそう考え直す。
そこに村長が話しかける。
「そう言えば、ソウマさん。あなた腰に剣を装備していると言うことは冒険者ですかな?」
「ん?ああこれですか。これはただの護身用程度の剣ですよ。それに俺は冒険者ではありません。ただ旅をしているだけですよ」
ソウマは適当に受け流したつもりだが村長は思いの外話にくっついて来た。
「ほう、旅人ですかな。どこから来たので?」
予想外の質問にソウマは慌てて答える。
「え、ええと、それはそのーあ!この村の近くに大きな森があったでしょう?そこからですよ」
ソウマは事実を告げたつもりなのだが村長は目を見開きかなり驚嘆していた。
「なぜそんなに驚くのです?」
ソウマが尋ねると村長ニコラスはゆっくりと語り出した。
「その森は。。。。。」