1話「死、そして」
さえ
さえ!
さえ!!さえ!!!
「っ、紗枝!!!!」
私は周りを見るが誰もいない
あら、起きたみたいですね
「!?誰かいるのか」
そんなに驚かないでくださいよ、、前野仁さん
「お前、どうして俺の名前を?」
私は困惑していた、いや、それ以上に心配だったのだ。何故こんなところにいるかを、考えたくないことだった。
前野仁さん。1997年6月生まれの双子座、死因は轢死ですか。可哀想ですね、人生これからなのに。
轢死。声の主は私が知りたくないものを的確に言い当ててしまった。
「やっぱり俺は死んだのか、電車に轢かれて。」
ええ、それは見事に、パッカーンと。
「そうか、俺は死んだんだな、本当に、、紗枝、ゴメンな、こんな別れで」
ちょっとちょっと、別れはまだ早いんじゃないですか
「、、、慰めなんか要らないよ、人生一度だけ、赤ちゃんでも知ってるさ」
いえ、だから軽率なんじゃないですかって
「だから、もういいんだって」
ああ、もう、話を聞いてくださいよ!
あなた、まだ人生を楽しめますよ。
「まだ、人生を、、、」
こいつは何をいっているのだろう、、、
死んだ身で人生を楽しむって
ええ、そうですよ。二度目の誕生、
もう一度、生きることを体験してみませんか?