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R15ですが、対したことはないです。念のため? といったほうがいいかもしれません。セーフなラインでアウトと思われるのも出るかな? といったところです
俺は普通の高校生だと思う。そりゃ、ゲームだって漫画だって音楽だって好きだ。
けど、特別大好きってほどまではいかない。
趣味もあるかって言われたらないと答えるだろう。 ただ、ちゃんとした趣味は持ちたいと思っているよ?
まず、エロ本をたくさん持ってるぜーとかは趣味に入るんだろうか。
これだけ聞いたらこいつ変態? って思つかもしれないが、まぁ聞いてくれ。
家庭内で人生崩壊の爆弾を持ってまでして趣味を見つけてもいいのか。俺はただ、趣味を持つぐらいならルールなんて破ったっていいと思うんだけどね。
もちろん法律なんてもんは破っちゃいけない。
けど、家庭のルールとかぐらいなら破ってもいい、そう思う。
人に決められたルールに従って、持てる趣味を捨てるってのはやっぱ勿体無い。
所詮、ルールならバレなければ破ってもいいと……そう思うよ。
俺は全国民に問いたい。我々、人類は優しい姉妹というものを見たことがあるだろうか。ゲームの中のリアルに可愛い子たちのようなのを。
はい、即答しようか。まず、ないな。もしあったとしたら、地球滅亡カウントダウンが直ちに始まるだろう。
特に俺の姉と妹を見てほしい。まぁ、なんだ。姉の方はまだマシだと思うぜ。
俺の姉である福田琴音は俺のことを嫌っていながらもまだ俺とは軽い会話は交わす。
でも、まともな姉ですかと言われればそうでもない。高校3年で俺と同じ学校に通っている。
そして、問題児である妹。中学2年生。福田星乃は俺のことをどう思ってんのかは知らんがいつからか俺とほとんど会話を交わさない。
それだから、あいつは俺が邪魔なときに当然のように侮蔑の睨みを利かせてくる。
それが「どけ」って意味なんだろうけど、少しは喋れよと言いたい。
だから、そんなことされたときはどんなに楽しい気分でも残念な気分になる。百からマイナス百までの気分の下がりようだ。俺以外の家族のメンツとはゲラゲラ楽しく喋るくせにな。
しかも、うちの姉妹はどっちも美人なんだよな。
俺の顔はそうでもないんだけど、それってちょっと不公平だと思うんだよね。
あと、母親以外うちの女どもは長髪なもんときた。
その点少しだけ褒めてあげてもいいと思うよ?
俺はショートとロングならロングの方が好みだからね。
……てかなんで俺は自分の好みを説明しなきゃならんのだ。
……まぁ、とりあえず俺たちきょうだいの内部分裂(?)を知ってもらえただろう。
実は、この関係がお互いの持つ爆弾のおかげで大きく変わってくる……ってな。
おっと自分の紹介が遅れたな。俺は福田彩輝ってんだ。この人類の普通代表として分類されている青少年である。高校2年の近くの高校に通っている。
この家庭では一番いい子でもあるこの俺は特別人気者ってわけではないが……人生に支障はまったくないので問題なしである。
俺は学校から家に帰ってくるとリビングには誰もいなかった。
「……ただいま」
いつも通りあいさつは入れておく。誰もいないのにやってる俺は他人からみりゃ変な奴と思われるかもしれん。
俺はすぐさま二階へと上がる。すると、登りきったところで姉の琴音と遭遇した。
「ただいま」
「……おかえり」
琴音は軽く会釈をした。琴音は俺とすれ違いざまに「あっ」と何かを思い出したように声を出した。
「今からちょっと出かけてくるから母さんによろしく伝えといて」
琴音はすぐにそう言って階段を下りていったが……俺の目線は自然と短けースカートにいっちまう。
……見るに困る絵だ、けしからん。
「はいはい、りょうかい」
「あっ、ちなみに」と、琴音は顔だけで振り返った。
「母さんも父さんも今日夜遅くまで帰ってこないから、コンビニで適当に食べときなさいよ」
「りょうけー」
俺はそう言い残し、部屋に戻る。カバンをベッドに投げ飛ばし、すぐ部屋から出た。
階段を降りたらもうすでに琴音は出かけてしまっていた。靴の用意早すぎんだろ。
手を洗い再度、部屋に戻ってベッドにダイブイン。
「うー……疲れたー……」
睡眠不足だった俺はそう呟き、十分ほど休息をとる。
その間に今からやることを計画していた。
フーッフフフ……母さんも親父も今日はいないだと……?
俺はベッド下から急いで例のものを取り出す。
「ついに、ついにチャンスが来ちまったゼ……くっくっく」
突然ですが、男子高校生諸君に問いたい。――エロ本買ったことあるか?
そりゃ健全な男の子であれば買うのは割と普通なことだろう。
だが、だがな……エロ本というものは堂々と外に持ち運べないという弱点が存在している。
そりゃ自分の部屋でエロ本見りゃいいじゃんと思うかもしれねぇが、俺が言いたいのはそうじゃない。
外で自分の好きなエロを体感する、という世の中の女たちに対するステキな背徳感を味わいたくないか……?
そう! そこで俺の開発した一品! これだ!
この見た目がノートのエロ本を見よ!! ノートの表紙をちぎりとってエロ本の表紙に重ね合わせる!! これがまさに工口と呼びつつ工口ノート(以下エロノー)だ!!! いい感じに掛け合わしている分、バレにくい見た目だぜ。
当然表紙にそんなこと書けるわけないから高校ノートと書いておく。
俺の発明はホント役に立つぜ……?
さすがに学校には持っていけないが、親がいないこういう日にはよく使える。リビングで勉強道具とともに配置しながらのんびり読むというこの楽しさ! もし、誰かが入ってきても教科書とかにカモフラージュすればか・ん・ぺ・きっ!!
数冊のエロノーと、適当に教科書郡をカバンからいくつか取り出し、リビングへと向かう。
ソファに深く腰掛け、いざOPENッヌ!
ウハウハウハウハウハウハウハウハ……以下略。
一時間ほどで読み終えた俺はエロノーをそのまま置いてキッチンのほうへと向かってしまった。後々思うことになるが、これがいけなかったんだろうな……。
うちのリビングはキッチンと直接繋がっている。それ故に、喉が渇いたと思えば、すぐに冷蔵庫にありつけて、渇きを癒すことができるのだ。
6人がけの食事用テーブルも置かれており、この部屋はそこそこ広い。
そこそこ稼ぎがいい親父のおかげで、そこそこ良い家に住めているのだ。感謝感謝です。
俺は冷蔵庫を開けて、2lのお茶のペットボトルを、棚から取り出したコップに注いだ。
と、その時に後ろでリビングの扉が開けられる音が聞こえた。
この時間帯で家にいるのは……星乃か。あいつと目を合わせると睨みを一発入れられるんで振り向かずに俺の成すべき行動を行う。
うう…………。
やっぱダメだ……この空気に俺は耐えかねん。
早く立ち去ろう。なんだか妙嫌な予感もするしな。
キッチンから抜けてっ、て……おおお、おう!!?
俺はさっき座っていたソファのほうへと目が吸い込まれた。
そ、そういえば机にエロノー置いてたんだった……!!!
幸いなことに、星乃がノートを開いた形跡はないが……カモフラージュするのを忘れてたぜ。
ちょっとヒヤヒヤさせやがって。
一方、星乃はずっとリビングの扉の近くで待機していた。
俺がキッチンから離れると同時に星乃はキッチンへと向かっていった。
……よっぽど俺が嫌いなようだな……! ご丁寧にありがとよ!
とにかくエロノーが見られるのはまずい。
早くこの部屋から立ち去るべく、机にある教科書、ノート郡を全部手にとって急いで自分の部屋へと向かった。
早足で部屋に戻った。よぉし、これで一安心だぜ……。
と、思ったんだがなんかさっきより手が重いんだけど……。
とりあえず、教科書郡を机に置いた。
そんで、ダイブonベッドをしようとした時。
どガンっ!!
と勢いよく俺の部屋の扉が開け放たれた。
「……!!?」
俺はこのときなんと間抜けな顔をしてたんだろうな。口をポカンと開けていたことだろう。
「はぁ……はぁ……」
なんと俺の部屋の前にいたのは星乃だった。
……なんで?
息を荒げてさぁ。 まさか部屋間違ったとかいうのはなかろうな。ないだろうけど。
「……ノ……ノート……!!! あたしの……持ってかないで」
「……はっ?」
何言ってんだてめぇ? そう言おうとしたが、
「いいから、ノート返して」
星乃は俺に発言権を譲ってはくれないらしい。
ずっと星乃は息を荒げ、今にも襲い掛かりそうな殺気がかった目をしていた。
なんでそんなに焦ってんの??
てかノートって何? まさかのエロノー?
と思ったときに、星乃は勝手に部屋へ侵入してきた。
「お……おい!」
俺の机に向かい、ざざっとノートをとっていく。おいおい、ちょい待て……。
「いや、それ、俺の」
星乃が手に取ったのは、まさかのエロノーだった。マジか?
星乃は呆気にとられたような顔をした。
「……え? うそでしょ」
そう言って楽園への入口を開放しようと……。
「ぬ、ぬぉおおおおお!!! だめだぁああああああああああああ!!!!!」
俺は捨て身で身を飛ばし、ノートを掴み取り上げた。結果、俺は床に勢い強く体を打つ羽目になった。だが、これで桃源郷は守られた……。
……ふふ、中学生にはちょいとハードな内容でねぇ……。
勘違いされそうだから早めに釘を刺しておくけど、俺はこれでも普通の高校生ですよ。
俺は取り上げたノートの中を確認した。
……あれ? こんなもんあったっけ……。
俺は薄っぺらい紙がノートに挟まれているのに気づき取り出した。
開くと、字がいっぱい書いてあって右上の方に大っきい赤丸が書いてある紙を持ち上げた。
「れ……零点」
それを見ていた星乃が、
「……って見るなぁあ!!!!」
ふぉっゴフっ……!!??
膝蹴りを鼻にジャストミート。
軽い脳震盪を感じたね。
くぅぅうう!痛っててえええ!!!!
俺は床を転げまわっちまった。
だってさ、膝蹴り喰らってベッドに逆ダイブインさせられたんだぜ? そんで気が遠くなりかけたんだよっ!? 死を意識しちまったよ俺! つか、俺のノートとすげー似てるから間違っちったよ!! 俺悪くないよね? そうだよね?
「って、痛ってえなぁ、おい!!」
「おまえ、勝手に人のノート見るな!!!」
いや、俺が言いたい。勝手に人の部屋入んな。
あと、おまえ…….ってひどくない?
星乃は俺の手からテストの紙を無理やり奪い取った。
「てか、おまえ零点って……」
「それは……ちょ、調子が悪かったの!」
いや、調子悪くてもこれはないだろ。0って、俺初めて見たよ? の○太以外にこんな点見たことないよ?
あと、スッゲー焦ってんだけどこの人。
まぁそれもそのはず、うちのルールに反してしまったからな。
「…….で? それ親父に言ったのかよ」
「……はっ? 言えるわけないじゃん……あたし一人暮らしなんて無理だよ……」
うちの家庭のルールは少々他の家より厳しめだ。
ぱっと見、すぐに直せそうな内容だが、それに反すると罰が下される。
高校生のルール
一、いかがわしいものを持たないこと。持っていた場合、度合いを決めかねるので、数によって罰を変える。三つ未満なら晩飯抜き。三つ以上、家から出して一人暮らし。
二、家に連絡なしで八時以降、家にいない場合、家に入れない
三、留年したら一人暮らし
中学生のルール
一、いかがわしいものを持っていたら一人暮らし
二、家に連絡なしで六時半以降に家にいない場合、家に入れない
三、定期テストなどで五十点以下を採る場合、晩飯抜き。万が一、零点をとった場合、一人暮らし
と、普通にやればいけるんだがイレギュラーなことが起きても上記の内容は変わらない。
それが一番の特徴であり、地獄でもある。
とにかく、罰が重い。
一人暮らしというのが、どこまでのレベルなのかは知らないが、この家から追い出されるといった感じだろうな。
当然、ほかのルールもあるみたいだが、全部は把握していない。
そもそもこういうのが形としてあるわけではない。親父の口から出たルールを家族全員が脳内に叩き込んでいるだけだ。
俺が覚えてる中で、子供にとって致命的なのが上記のようなもんだ。
「……期末テストでか。中間はどうだったんだよ」
同情するってわけでもないが、俺は星乃に尋ねた。
「百」
ってマジかおい。しかも、よく見たら数学か。教師もびっくりしただろな。百から零に下がるってよ。
カンニングの達人でもこんな点数の変わりようはねぇよ。
「まぁ、なんだ。成績からは深く出ねえだろな。五段階評価だろ? 三か四かぐらいじゃねえかな」
一応俺と同じ中学を通ってるわけだし、だいたいの仕組みは覚えていた。
中学っていうのは高校と違って成績の優劣がかなりつきやすい場所である。
そりゃ中学受験をしたやつからすれば、話は変わってくるが、基本的には中学までは決められた区域のとこにいくのが一般的だ。
高校は高校受験である程度学力の線引きがされるようになる。
だから、中学での低い点数なんて割と多くいるのだ。
かといって、0はレアすぎるが。
急に星乃は真顔に変わった。
「先生に事情話したら三者面談の時には、五十点として見せてくれるって言ってる」
どんな教師だよ。そんで、どんな学校だよ。
「あー、なんでそんなことできるかって? あたし他の教科は全部九五点は取ってるからね」
ありえねぇ……ある意味ありえねぇよ。
そんなら何か? たまたま調子悪くて、たまたま思ってた問題と違って、たまたまこんな点数とったってか?
今すぐ福田家七不思議に入れてやってもいいよ。
「おねがい……絶対に言わないで……」
焦ってた様子から一変。泣きが入るぐらいのテンションの下がりようだ。
「……親父はまだしも、母さんならわかってくれんじゃねぇの?」
「すぐばらしちゃうよ……口軽いもん」
もん、って……おまえ人格変わりすぎ。
急に可愛い語尾使い始めるなよ。
いつもの「死ね、この豚野郎」みたいな威勢はどうした?
まぁ、たしかに母さんの口の軽さはトンネル並みに突き抜けているな。相談事したくないタイプである。
俺は鼻の痛みを堪えながら、勉強イスに腰を下ろす。許せ、カッコつけたいお年頃なんだよ。
あとこいつの弱点みたいなのを握って優位にたった気分なんだよね。
机に手を置いて足組んで上から目線でモノを言った。
「まぁ、別に? 俺は言わなくてもいいけど?」
「ま……マジで!?」
目をキラキラ輝かせる星乃。
こうして見ると、星乃は実は意外と可愛らしい。
性格は糞だが。
こういった場面にならないと、こいつはお兄ちゃんをお兄ちゃん扱いできないんだよね。皮肉なもんだ。
「ただし、条件があーる」
「じょ、条件?」
俺の調子はどんどん上がる。
「そうだ。この条件をクリアすればずっと黙っといてやる。そんで、バレた時も精一杯対抗してやる」
「ホント!?」
「その条件とは! ……ってああ!!!!
机に手を置いていて調子が上がっちまっていつの間にかエロノーの位置がずれていっていたことに気づかんかった。
そして、机からエロノーは儚くも落ちていってしまった。
そして、星乃に中身を……見してしまった。いや、見えちまった。
「……」
星乃はエロノーを手に取りペラペラとページをめくる。
「星乃……?」
「……ねぇ、これってエロ本だよね」
「そうっすね……」
何の羞恥プレイですか、これ。
妹にエロ本見せつける鬼畜兄の構図ですよね。
星乃はエロノーと自分の零点のテストを持ち上げる。
「変態魔のこれと……あたしのこれさ」
「はい」
聞いて驚け。俺は通称、変態魔に進化した。
「同盟……組まない?」
「………………はっ?」
何言ってんだこいつは。
また俺は間抜けな顔をしていただろう。
「お互いルール破ってる身なんでしょ? だったらお互い隠しあおうって言ってんの」
「……なるほどな」
同盟の意味はさておき。お互い、人生崩壊の爆弾を見せつけ合っちまったわけだから、それをお互い隠し通そうぜ、ってこったろう。
待て待て待て待て。大事なこと忘れてない?
根本的な話にはなるんだけどさ。
「……おまえ、俺が嫌いなんじゃねえの?」
「超がついて、糞がつく以上に大嫌いだけど?」
素直すぎて今にもしばきたい。
「でも、これはあくまで同盟なの。好き嫌い関係なしの」
「そういうもんか」
さっぱり分からん。お互い爆弾持ってるから、同盟なんて組まなくたって安全なんじゃねえか?
もし、俺が零点をぶちまけてもお前は俺のエロノーぶちまけりゃ道連れだしよ。
こいつの考えがよくわからんわ。
星乃はその場を立ち上がり、部屋を出て行こうとしていた。
「お、おい……」
俺の呼び止めが聞こえたのか、星乃はちらっと振り返り、
「明日から、毎日会議するからよろしくね」
と言って、部屋を出ていった。
その時、なぜか星乃が少しだけ微笑んでるように見えたのは錯覚だろうか。
おそらく、こいつの考えを知る頃には俺はここを追い出されてるのかもしれねぇな。
という一幕が俺たちに起こった。
人生崩壊の超原爆級の爆弾を見せ合った俺たちは、今日から無縁の関係とは言えなくなった。
似たような性格の主人公多いですねー。この主人公後にどんどん変わってきます。だから、ほかの作品とはちょっと違うような感じになると思われます。
では、これからもよろしくおねがいします!!