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81話 デスゲーム!!

「ちょっとそこ! これを放っておくんじゃないよ!」


 なんだか最近聞きなれた声に呼ばれて目を向ければ、なんと、冒険者のレイナがただ一人であの浮浪者男と戦っております。しかも、ときどき飛んでくる薔薇鞭を避けつつの戦いですから器用ですね。


「すぐ片づけてくる」


 ため息を一つ吐いてウィルシスは私をゆっくりと降ろすと、そのまま剣を抜いた。


 さて、人同士の戦いはお任せするとして(血からは極力目を逸らしております)、私のしなくてはならないことと言えばやはり悪意の塊とも言うべき薔薇怪獣でしょう。

 見上げれば、敵と戦う騎士も、暴れる魔獣も、空に飛びあがる飛龍も、ここにいるものは全て攻撃対象とされています。無差別攻撃というやつですね。

 戦場はまさに大混乱。敵と戦いつつ蔓鞭を避け、けが人を安全そうな場所へ移動させる。あまりの過酷さに騎士達が涙目です。阿鼻叫喚一歩手前?


 騎士達も、魔獣や粛清の民という名のテロリストがいなければ薔薇怪獣と戦えるのですが、余裕はありません。


「リアーナさん、あれはやはり食べ尽くさないと害になりますか? 倒すだけではまずいでしょうか」


 掌の上のハエサイズのリアーナを見れば、彼女は目をキラキラさせながら周りを見ている。

 どうやらリアーナは外の様子が楽しくて仕方がないようだ。戦場なのに頑張れ~、そこ危な~いと暢気な応援をしている。


「リアーナさん!」


 大声を上げればリアーナがようやく振り返ってくれました。


『倒していいと思うわ。でもね、早くした方がいいと思うの』


「なぜですか?」


 リアーナは首を傾げる私に、見てとばかりに薔薇怪獣を指さした。


 薔薇怪獣は相変わらず鞭をフリフリ大暴れ。たまに蔓に捕まった人間がぶっ飛んでいきます。

 捕まれば、もちろん騎士や空にいる飛龍達が助けてはいますが、吹っ飛んでいくのはキャッチできないようです。壁に激突してぴくぴくしてますが生きてるのでしょうか…。


 そんな薔薇怪獣の周りは少しずつ人がいなくなり、薔薇怪獣は不満そうです。切り落とされたいくつもの蔓がみるみる再生し、太さを増して闘技場の舞台の床、外の地面をその攻撃でえぐっていますね。

 

「ひょっとして、強くなってますか?」


『そうなの。魔穴じゃないから負の心を吸収するはずないと思ったのだけど、吸収する術を見つけたんじゃないかしら』


「燃やしてしまってはどうでしょう?」

 

 怪獣とはいえ元々は植物です。燃やしてしまえばおしまいです。

 リアーナはう~んと首を傾げながら「そうね~」と同意した。


 そうと決まれば私のやることは一つです。


「ゼノ~っ、レイファスさ~んっ」


 鞭を避けつつ二人の元に走り寄り、魔獣の攻撃を前転一回転で避け(実は転んで一回転しただけ)、レイファスの前にぽちょりと座った状態で落ち着きました。


「リーリア、この忙しい時になんだよっ。ていうか魔獣連れてくんな!」

 

 ゼノは私に襲いかかってきた魔獣一匹追加で、二匹を相手に戦っています。


「ごめんなさい。それより、火の魔法か、竜に火を噴いてもらうってできませんか?」


 立ち上がり、そのまま気を失ったままのアルノルドにピタリと張り付きます。

 美形の補給…、ではなくて、心臓の音を聞いているのです。ずっと心配してましたからね。

 トクトクトクと弱いながらも響く音にほっと生きを吐いてレイファスを見れば、彼は頷きます。


「その頷きは大丈夫の頷きでしょうか、それとも火の魔法ありますよの頷きでしょうか」


 微妙なタイミングでの頷きですので思わず聞いてしまいましたよ。


「どちらも」


 …両方でした。できればその場合は音声で答えをお願いしますっっ。

 とりあえず、火があるとわかれば実行です。と言いたいところですが、アルノルドに何かあっては危険ですね。

 そろそろと名残惜しくアルノルドの体から離れると、先ほどから目の前をぶんぶん飛んでいるリアーナさんに相談します。


「アルノルドさんをどこかへ移さないと」


 けが人の安全確保に間に合わないと、敵のように転がった時点で鞭に打たれるという恐ろしい事態になります。

 アルノルドの顔に真っ赤な鞭の跡なんてついてほしくありませんっ。


『じゃあ、この子は私に任せて』


 リアーナはぐるぐるとその場で円を描くように飛び、発光しはじめました。すると、ぶぃぃぃぃんという可愛くない羽根音が増えます。


「うおっ、なんじゃこの虫っ」


 ゼノが戦う魔獣を、虫ならぬ古竜軍団が撹乱しつつ集まってくれました。

 今思ったのですが、古竜軍団の皆さん、ひょっとして戦闘回避のために元の姿に戻らないのではないでしょうか…?

 手伝ってはくれますが、私も含め最弱竜ですからやはり傍観していたのかも…。


『この子を運ぶの手伝って~』


『はいは~い』


 ぞわぞわと黒い虫のような古竜軍団がアルノルドの体の下に回り、えいやと持ち上げると、まるでアルノルドが黒い絨毯に乗っているようです。たまにわさわさ動くのが見えるので、気分はありの大行列を見る感じですね。ちょっと気持ち悪いです…。

 

 そんな風でも彼等はきちんと鞭を避けつつアルノルドを安全な場所へと運んでいき、私はレイファスを見上げて頷きました。


 いっちょ巨大な炎よろしくお願いします。


「目標は薔薇怪獣ですっ」


 びしぃっと指を指し示してふと気が付く。私、まともな攻撃魔法見るのはじめてかもですっ。

 わくわくしてレイファスを見れば、彼の掌の数センチ上にぽっと炎が付きました。ですが、大きさはろうそく一本分。

 

 あれ?


 あまりの炎の小ささに、風圧に負けてしまうのではとハラハラした次の瞬間、投げる仕草をしたレイファスの手の上の炎は何倍にも膨れ上がり、巨大な火球となって薔薇怪獣の胴体部分にぶつかった後、一気に燃え上がりました。


「やった!」


 キャルルルル~ッと喜びの声を上げたのも束の間、薔薇怪獣が熱さに耐えきれないといった様子でうねり、次いで燃えたままその蔓鞭を放ってきました!


「ぬおわぁっ」


 近くでゼノが悲鳴を上げます。

 というのも、今度は鞭を避けるだけでなく、鞭から飛び火した炎をも避けねばならないからです。

 

「キュアアアアッ!」


 丸焦げ注意!


 薔薇怪獣が燃え尽きるまでの過酷なデスゲームが始まりましたっ!



 ナゼに?

やることなすこと悪化する日ってありますよね~

リーリアどツボにはまってます。

危険度追加! 戦場悪化!

リーリア「混乱増量キャンペーン中!お近くのお店までっ」 

ゼノ「いらねぇぇぇ~!」

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